フルーツは真っ赤なアップルが1番。【短編】

天邪鬼は恋の始まり。[ymmt] ページ13

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別に興味ない。


「なーに、また山本のこと見てんの？」

「別に見てないです。ただこうちゃんと山本さん盛り上がってるなぁって思っただけです」

「それは見とるってことやん」

「たまたまです」



ただ、私がふとした時の視線の先に山本さんがいることが多いだけで。



「ほんまは混ざりたいんやろ」

「そんなことないです。須貝さん私に油売ってないで、お仕事してください」

「いいんですー今休憩中なんですー」

「そうですかー」



正直あんな感じでおしゃべりできたらいいなぁと思うことは多々ある。
でも、残念なことに可愛くない性格の私には、それが出来ない。
須貝さんとの会話ですら、この調子だし。



「素直やないなぁ」

「今更ですか？」

「いや、最初から」

「じゃあいいじゃないですか」

「そこが見てて飽きないんよなぁ」

「からかってます？」

「すまんすまん」



なんて、須貝さんはポケットから飴玉を1つ取り出し、私のデスクに置いた。
有難くいただいていて、ふと視線を先程の位置に戻すと、楽しそうに話していた2人は居なくなっていた。



「顔に残念って書いてあんでお嬢さん」

「だから、別に興味ないです」

「何が残念なんですか？」

「うわぁ！」

「え！僕何か邪魔しちゃいました？」



そう、確かに心の中では残念って思った。
思ったけど、唐突なご本人登場は、反則じゃないですか？



「いや、山本ナイスタイミングよ」

「ほんとですか(笑)」

「Aちゃんがな、山本とおしゃべりしたいんやって」

「え！全然話しかけてよ！」

「いや、別にそんな大した事ではないので」

「あとは山本よろしくな〜」


片手をヒラヒラさせながら、須貝さんは颯爽とその場を立ち去ってしまった。
自分も何か理由をつけて逃げたかったが、あいにくここが自分のデスクであるという事実に留まることを強いられた。

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