ネットの空論。[izw] ページ1
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“男の人は揺れるものに弱い”
“ポニーテールが好まれる”
“白いワンピースは狙いすぎ”
“パンツスタイルは女として見られない”
一般に言われる男性の好みは、検索にかける度に違う答えが示される。
出てくるものを総合した女の子は、この世の中存在するのだろうか。想いを寄せる相手に100%振り向いてもらうことは可能なのだろうか。
「んなこと知るか!」
「どうした?急に」
「…いや、べつに。ごめん」
空きコマの時間を使って、パソコンを睨みつけながら、週末に提出の課題を進める。斜め前に座る伊沢も同じように、パソコンを見つめていたはずだが、視線はこちらへ向けられていた。
私のさっきの発言が、課題が分からないという意味で捉えられたらしい。
「ほんとに何もないから」
「ふーん、全然進んでないけど」
「は?そんなに私のこと見てたの?」
「まぁねー」
「何それ、私の事好きじゃん(笑)あいにくだけど…」
「好きだよ?」
今、なんて言った…?
「え、」
「Aが、“私の事好きじゃん”っていうから、素直に答えてあげた」
「いやいや」
相変わらず、視線は私に向けられていて、反して自分自身の視線は下がっていく。
“あいにくだけど、間に合ってます〜”なんて見栄は張らせて貰えなかった。
「いつもそんなこと言わないじゃん」
別に今日が初めてでは無い。
なんなら、テンプレートと化しているくらい日常的に交わされるやり取り。
「あのさ、お前気づいてねぇだろ」
「何が?」
「好きでもなきゃ、毎回ギリギリまで課題溜めるAの心配しないし、手伝わないし、何より講義隣で受けないから」
「嘘だ…」
言われてみれば、何かと伊沢は気にかけてくれる。良い友達を持ったなとは思ってた。その度に、所詮“友達”と一線を引いていた。
「ん?でも何故いま」
「あー、それはあれだよ。今日の服装が一段と気合い入ってるから、俺が知らないうちにデートなんかな……とか」
気合い入ってる?
今一度自分の服装を見やる。
白いチュールのワンピース、新調したパンプス、緩く巻いたポニーテールに揺れるピアス。
「確かにデートだったら、この服は気合い入りすぎてるわ」
「だろ?だから、ここらで意識させとかなきゃなと」
「だとしたら、伊沢も大概だよ」
「は?」
「私もずっと好きだから」
ここまでてんこ盛りにして焦ってくれるなら、ネットの情報もあながち間違ってはなかったのかなって。
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りりぃ(プロフ) - シラユキ。さん» コメントありがとうございます!全て面白いなんて言っていただけて、嬉しい限りです⋆*リクエスト了解致しました。シラユキさんもご自愛ください𓂃◌𓈒𓐍 (9月24日 9時) (レス) id: 25bf53f7a7 (このIDを非表示/違反報告)
りりぃ(プロフ) - ばたこさん» コメントありがとうございます!リクエスト了解致しました⋆*ご期待に添えるよう頑張ります! (9月24日 9時) (レス) id: 25bf53f7a7 (このIDを非表示/違反報告)
シラユキ。 - お話全てが面白い短編集を見つけてしまった…リクエストいいですか…mnちゃんのお話を頼みたいです…!できればでいいのでお体に気を付けて頑張ってください! (9月18日 15時) (レス) @page36 id: fd9c934f53 (このIDを非表示/違反報告)
ばたこ(プロフ) - いつも応援してます!リクエストなのですが、東言さんのお話みたいです、!更新ゆっくりで大丈夫です!! (9月18日 11時) (レス) id: 2432bd82c3 (このIDを非表示/違反報告)
りりぃ(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!ものすごく嬉しいお言葉ばかりでニコニコが止まりませんでした*°今は少し忙しくまばらな更新になってしまいますが、是非お待ちいただけると幸いです!ありがとうございます! (2023年3月31日 1時) (レス) id: 25bf53f7a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りりぃ | 作成日時:2022年9月24日 16時