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(fkr side.)




その後彼女と別れ、館内を隅々まで見て回った僕は、情報収集を終えて出口へ向かっていた。

動画のネタになりそうなものや、更に調べる必要がありそうなものについて考えていると、出口付近に並べられたパンフレットに混ざって1冊のノートが置いてあることに気付く。

【ほしぞら科学館 No.48】と表紙に書かれたピンク色のキャンパスノートを開くと、そこには科学館を訪れた人のメッセージが日付と共に並んでいた。

幼い子供が書いたものや、カップルで書いたもの、様々なメッセージに続いて、僕も

【こちらで撮影された宇宙の写真に心奪われました】

と、記入した。











事務所に帰ってきた僕は、早速動画の構成や問題作りに取り掛かる。
様々な資料に目を通すうちに、【ほしぞら科学館】のホームページであの写真に辿り着いた。



fkr「遥か彼方の遠くの宇宙…」



科学館には沢山の写真があったのに。
どうしてこの写真にこんなにも惹かれるんだろう、それが僕自身にも分からなくて、何度も彼女の瞳を思い出していた。











あれから何日かかけて、宇宙についてのクイズや動画、記事まで完成に持ち込めた。
メンバーからも完成度が高いと褒められたのは、あの写真を通して宇宙の魅力に気づかせてくれた彼女のおかげだった。

名前も知らない彼女の星空のような瞳が、いつまで経っても脳裏に焼き付いて離れない。

そうか、僕は彼女の瞳の中の宇宙に魅了されていたんだ。





それから僕は彼女の名前も連絡先も聞かなかったことを酷く後悔した。
遥か彼方の遠くの宇宙に思いを馳せるように、彼女には恐らくもう二度と会えない。



でも、もしかしたら。



僕の足は【ほしぞら科学館】に向かっていた。





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作者名:qk15gabriel | 作成日時:2022年11月28日 3時

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