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川上のどこが好きなの?と尋ねられたあたりで、ランチプレートが届いた。川上さんが食べはじめたのを見て、自分も手を合わせ、パスタを口にする。
『全部かっこいいと思います。私、ギャップにすごく弱くて__』
「…….なぁ」
横から声をかけられ見ると、川上さんとぱちっと目が合う。そう、この目が好きなのだ。
「食べるの、待っててくれたん?」
『あ……はい、まあ』
連れてきていただいた分際で、先に食べるのはどうかと思って。そう言うと、彼はふっと笑った。
不思議な人だなと首を傾げる。その光景を見ていた伊沢さんが、視界の端でお冷を一口飲んだ後、ちょっと嫌な顔をしたのが分かった。コップを置こうとした場所の傍には、クリップで留められた資料。
『伊沢さん、どうぞ』
「ん?ああ、ありがとう」
コップの底が水滴で濡れていたので、紙が濡れるのが嫌なのだろうと思い、備え付きのナプキンを渡す。
伊沢さんはそれをコースター代わりにしてコップの底に敷いたあと、うーんと首を捻り、川上さんを見て微笑んだ。
「なるほどね。川上、わかったよ」
「ですよね?賢いし、向いてるんじゃないかと」
何か、私の分からない話のようなので、気にせずパスタを食べ進める。おいしい。
「ねえ、Aちゃん。クイズとか興味ある?」
『クイズ、ですか。経験はないですけど……』
クイズ番組は好んで観るが、クイズ研究会に入るほどの勇気もないし、本格的に勉強したこともない。
『みなさんみたいに、知識を積むのは素敵なことだと思ってます。興味はあります』
「じゃあさ。QuizKnock、入らない?」
『…………え』
え、えええ。
『私、私なんかがですか』
「うん。川上の提案なんだけど」
『視聴者ですし、そんな知識にもないし……大丈夫ですか?』
「向いてると思うんやけど、俺」
川上さんが、私の顔を覗き込む。
「俺の足のこともそうやし、さっきのコップのときもそう。小さなことに気がついて周りがよく見える。言葉遣いも綺麗やし、見た目も華やかやし。QuizKnock好きなんやったら、ぜひ」
『え、ええ……』
「もちろん無理強いはしないけど、ライターでも、編集でも。俺としては、動画にも出て欲しいなって思うかな。俺ら今、華がなくてさ」
大好きな、QuizKnock。私みたいないちファンが、メンバーになっていいのか……?
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りんり(プロフ) - 莉華さん» ですので、莉華さんが良ければ、非表示を解除していただいても私が口出しするものではありません。もし気になる読者様から指摘がありましたらこちらで対応しますので、ぜひ気にせず執筆を続けていただきたいです。ご迷惑お掛けしました。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 莉華さん» 返信が遅くなってすみません。また、わざわざ当作品を読んで下さり、対応ありがとうございます。私自身当作品が大して独自性のあるものとは思っていませんし、似たような作品ならむしろ読みたいくらいです。(↑続きます) (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - yukiさん» 返信がたいへん遅くなってすみません。報告、ありがとうございます。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
莉華(プロフ) - yukiさん» 当事者です。この作品のことは全く存じ上げておらず、作品を作成しておりました。りんり様のこちらの作品を読ませて頂きましたが、自分でも凄く似ているな、と思いました。当該の作品に関しては非公開という形にさせて頂き、修正致します。大変申し訳ございません。 (2020年4月25日 20時) (レス) id: 907e72034e (このIDを非表示/違反報告)
yuki - すみません。似たような作品が作成されていますよ。(莉華様の「川上さんが甘々なんですが。」という作品です。) (2020年4月25日 0時) (レス) id: e5bfab260f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんり | 作成日時:2019年1月26日 22時