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一部始終を見ていた伊沢さんは、
「あー、Aちゃん来てくんないんだ。そっかそっか、じゃあいいや、つまみ買ってくる」
と嫌味を言いつつ、コンビニに言ってしまった。
よく見ると、伊沢さんの手元の机には缶ビール(開封済み)が置いてあった。酔ってたのか……。
川上さんも酔ってるのか?と鼻を鳴らしてみるが、お酒の匂いはしなかった。
__こう言うと変態くさいが、川上さんの匂いがして、ますます心が騒いだだけだった。
「僕もお酒、飲もうかなぁ。Aちゃんは……って、まだ未成年なのか」
『そうなんです。両親は酒豪なので、私も強いとは思うんですけど……まだ、18なので』
「そっかぁ。じゃあコーラでも飲む?」
『あ、ありがとうございます』
山本さんが冷蔵庫から缶ビールとペットボトルのコーラを取り出す。同時に、川上さんが唸った。
「……ん〜」
『川上さん、起きました?』
「んー、俺も飲む。ビール」
どうやら酒盛りの始まりらしい。未成年はさっさと退出したほうが良さそうだと、帰る準備をする。
「あれ、Aちゃん、帰っちゃうの?」
『はい、もう遅いので』
立ち上がろうとすると、また、彼が裾を引くのだ。
「……泊まってかんの?」
酔ってないくせに。寝起きだからなのか、とろんとした目で、寂しそうな顔で、見ないで。
惚れた弱み。帰りたくなくなってしまう。
『ここ、化粧落としとか無いですよね?』
「あーそっかー、女の子だもんねぇ」
化粧は濃い方ではないが、さすがにきちんと落としてから寝ないと明日の肌荒れが怖い。
コンビニに買いに行くのと家に帰るのとではそんなに変わらないので、帰ろうとするのだけど。
『川上さん、人肌恋しいんです……?』
「んーーー」
『わあ、だめですよ川上さん、人間違えてませんか』
力で敵うはずもなく、あっという間に後ろから抱き込まれる形になる。
背中いっぱいに、体温を感じる。
もう無理、心臓が持たない。
『山本さん、助けてください〜〜』
「もー、しかたないなぁ」
やれやれと言うように、山本さんが川上さんを引き離す。川上さんは、そのまま力尽きたように眠ってしまった。
「昨日も遅くまでオフィスで課題してたみたいだし、寝てないのかもね。川上さん、頑張り屋だから」
『そうなんですか……』
確かに、よく見れば、いつもより隈が濃い。
お疲れ様です、と言って、傍にあった毛布を掛けた。
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りんり(プロフ) - 莉華さん» ですので、莉華さんが良ければ、非表示を解除していただいても私が口出しするものではありません。もし気になる読者様から指摘がありましたらこちらで対応しますので、ぜひ気にせず執筆を続けていただきたいです。ご迷惑お掛けしました。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 莉華さん» 返信が遅くなってすみません。また、わざわざ当作品を読んで下さり、対応ありがとうございます。私自身当作品が大して独自性のあるものとは思っていませんし、似たような作品ならむしろ読みたいくらいです。(↑続きます) (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - yukiさん» 返信がたいへん遅くなってすみません。報告、ありがとうございます。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
莉華(プロフ) - yukiさん» 当事者です。この作品のことは全く存じ上げておらず、作品を作成しておりました。りんり様のこちらの作品を読ませて頂きましたが、自分でも凄く似ているな、と思いました。当該の作品に関しては非公開という形にさせて頂き、修正致します。大変申し訳ございません。 (2020年4月25日 20時) (レス) id: 907e72034e (このIDを非表示/違反報告)
yuki - すみません。似たような作品が作成されていますよ。(莉華様の「川上さんが甘々なんですが。」という作品です。) (2020年4月25日 0時) (レス) id: e5bfab260f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんり | 作成日時:2019年1月26日 22時