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きちんと手を合わせてから食べ始める彼に思わず笑みが零れる。

「ん、おいしい」
『ホントですか?嬉しいです』

お味噌汁を一口飲んで、律儀に褒めてくれた。

「実家の味に似てる。なんか嬉しい」
『そうなんですか?地元、近いわけじゃないんですけど。でも、よかったです』

主菜にも副菜にも手をつけ、これもおいしい、これもおいしいと食べてくれる。
ほんとにお腹が空いていたのか、よく噛んでねって言いたくなるほど無心で食べ続ける彼に、愛しさが溢れた。


「……ごちそうさま。おいしかった」
『お粗末さまでした』

何飲みます?と聞きながら立ち上がる。

「お茶。あったかいの」
『わかりました、ちょっと待ってくださいね』

ティファールのスイッチを入れ、お湯を沸かしている間にカップを準備する。
ほうじ茶を入れて持っていくと、携帯をいじっていた川上さんに手招きされた。

「となり、」

断れるはずもなく、二人がけのソファに座る。
彼は、ふと私の髪を触った。

「染めたんやね、いい色」
『ほんとですか?』
「うん。俺、こういう色も好き」

好き、という言葉にドキッとする。
私は昨日、髪をちょっとピンクっぽい茶色に染めた。女子大生の定番色だ。

『似合うんだったら、私も川上さんみたいな色にしたいんですけど』
「んー……色抜かなきゃだから、やめとき。髪傷む」

せっかく綺麗な髪なのに。

と、呟く。
あぁ、どこまで女心を掴むのが上手いんだろう、この人は。
容赦なく鼓動を鳴らす乙女心を必死に抑え、多少傷んだ方がヘアアレンジしやすいんですよ、なんて嘯く。


そろそろ行こうかな、と川上さんが腰を上げる。
時刻は既に9時を回ろうとしていた。

『遅くなっちゃいましたね。送っていただいて、ありがとうございました』
「こちらこそ。おいしいごはんありがとうございました」

お互いにぺこりとお辞儀し、改まっててなんだか可笑しくて、顔を見合わせて笑った。
そうして、幸せな1日が終わったのだった。



_____________________

QuizKnock関連ランキング一位、嬉しいです…!

作者の好みからして、あまりハラハラドキドキの展開は無いかと思います。

それでも良ければ、この拙い文章を温かく見守ってくれると嬉しいです。

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設定タグ:QuizKnock , QK , 川上   
作品ジャンル:恋愛
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りんり(プロフ) - 莉華さん» ですので、莉華さんが良ければ、非表示を解除していただいても私が口出しするものではありません。もし気になる読者様から指摘がありましたらこちらで対応しますので、ぜひ気にせず執筆を続けていただきたいです。ご迷惑お掛けしました。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 莉華さん» 返信が遅くなってすみません。また、わざわざ当作品を読んで下さり、対応ありがとうございます。私自身当作品が大して独自性のあるものとは思っていませんし、似たような作品ならむしろ読みたいくらいです。(↑続きます) (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - yukiさん» 返信がたいへん遅くなってすみません。報告、ありがとうございます。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
莉華(プロフ) - yukiさん» 当事者です。この作品のことは全く存じ上げておらず、作品を作成しておりました。りんり様のこちらの作品を読ませて頂きましたが、自分でも凄く似ているな、と思いました。当該の作品に関しては非公開という形にさせて頂き、修正致します。大変申し訳ございません。 (2020年4月25日 20時) (レス) id: 907e72034e (このIDを非表示/違反報告)
yuki - すみません。似たような作品が作成されていますよ。(莉華様の「川上さんが甘々なんですが。」という作品です。) (2020年4月25日 0時) (レス) id: e5bfab260f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りんり | 作成日時:2019年1月26日 22時

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