目眩く色彩

026. ページ29

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りょうくんが“テストと文化祭が被っとった時だってどっちも頑張って、丸2日くらい徹夜しとったやん”と続ける。


『それは、そうだけど…』
り「そうやって努力出来る子なんだから、不安に思わなくても平気だよ」
『でも、』

不安を口に出そうとしたAに被せるように話し始めたのはしばゆーだった。


し「ん〜〜。俺思うんだけど、Aが一緒に仕事しとる人達はおざなりになった時に叱ってくれるような人達なんじゃないの？」


一人宙に浮いているようで、偶に核心をついたような事を言うしばゆーに相変わらずだなぁと思う。(笑)

驚いた表情のAは静かに頷く。


『……確かに』
し「でしょ。そういう人達じゃなきゃAは一緒に居らんと思うし、その人達に頼ってもいいんじゃない？」
「そうだげ」


僕の肯定の言葉の後に“間違いねえな”と、としみつが続けてふっと笑うと場の空気が一気に軽くなった。


東海オンエアに、真面目な話は似合わんな(笑)
そう思いながらグイッと酒をあおる。


『…どっちも半端になって結果が残せなくて、後悔したりしんかな？』
ゆ「A 後悔先に立たず、って言うやん」
て「ゆめまるの言う通り。やってみんと分からんよ」


そう言ったてつやが指を2本立ててブイサインをつくる。


て「俺らが言っとるのはやらずにする後悔。Aが言っとるのはやった後にする後悔。

どうせ後悔するなら、やった方がいいやん」


“後悔すると決まったわけじゃないしな！”と明るく告げるてつや。


「そうだね。今ここでどっちも捨てれんと思ってるのに無理やり絞ったら絶対に後悔するよ。」
『……うん、そやね』

「心配そうな顔しんで、Aなら出来る」


途中で照れ臭くなってポンポンと軽く頭を撫でると、小さな声で“うん”と決心したような力強い肯定が聞こえた。


『私、どっちも頑張るね。』


いつものように浮かべる笑顔の向こうで、瞳の奥に輝く光を見てもう大丈夫だなと思った。


り「でも心配だからあんま頑張りすぎんこと！」
ゆ「あと抱え込まないことな(笑)」
『肝に銘じます(笑)』


小言の煩い僕らに囲まれつつ、晴れやかな顔で笑ってるAを見てたらつい楽しくなっちゃって。

閉店の時間になっても飲みたがるてつしばコンビに流されててつやの家で飲み続け、結局朝までコースになってしまった。


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