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妖怪の姿を初めて目にしたというのに、ましてや神に近い俺だから何かしらの反応を見せるかと思いきや神を神として慕うような態度を見せずにどこかで軽く見下しながら嘲笑しているように気に食わない口調で反論をしてきた。
このままでは千里が父親に潰されて何もかもが手遅れで何もかもが終わってしまう。
「俺の事を馬鹿にすんのは幾らでも構わん。けどな、何でもかんでもアンタの貫く正義全てが全て正しいと全員首を縦に振る訳でも無いやろ。俺から見たらそんなの正義の武士道やない、哀れな暴力やねん」
落ち着いて俺が説得をした途端男は面白おかしいものでも見たかのように腹から大きく声を出し始め本性を表すかのように狂いながら笑っていた。
「坂田」と後ろから小さく止めようとする声が聞こえてきたが俺はそのまま正義論というものを語る男に目を向けていた。
「あまいあまい！！小さな体のうちから厳に教養をつけるのが私の正当な教育論！！部外者、それどころか化け物ごときに人の思想を理解するなど到底無理な話だったということか！！」
そう言って腰に紐で身につけていた鞘から柄に手をかけてゆっくりと刃先が異様に光る太刀を俺の身体に向けてきた。
「やめてください父上！！」
しかし咄嗟に俺の目の前で千里は両手をめいいっぱい広げて庇うような姿勢を見せた。その体はかなり震えていて「やめろ！！」と俺は手を伸ばすが身体は動かず退いてくれることもなかった。
「彼は山神である故に人の身を守護しているんです！！殺害してしまえば村の民からこの家は」
「餓鬼は黙らぬか！！」
その一瞬はあまりにも遅く感じられた。
咄嗟に俺は護ろうと身体を出そうとしたがその前に赤い液が空を切るように飛沫して俺の頬に二、三滴張り付いた。
水よりも生温い感触、床に広がる紅の花。どさりと音を立て落ちて墨のような黒髪が下に散りばめられて。
「…せん、り？」
＿＿琥珀の瞳は閉じられた。
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夜紅茶(プロフ) - Naoさん» コメントありがとうございます！そんな前から見ていただいて嬉しいです！気長に続編を待っていただければ幸いです。 (2020年10月4日 19時) (
レス) id: 676346443e (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - この小説が書かれだした頃から見ているのですが夜紅茶さんの言葉選びは凄く人を惹きつけるもので素晴らしいと思います！続き待ってます！楽しみです！ (2020年10月4日 18時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
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