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いつも走る必要性がない僕が自らの足で彼女の行方を追いながら必死に探していた。
それならいっその事魔法を利用すれば良い話なのだが生憎悪天候の雨の日になると魔力が弱まってしまい使用できるのは簡易魔法だけで持続的な魔法や瞬間移動などのものは発動することが出来ず使い物にならない。
それこそ魔導書を読めばなんでも使えるのだがこんな雨のせいで…
(しかもよりによってこんな日に起きるなんて。)
息を上げながら僕は城の入口を荒々しく開けた。しかし目に映って見えたのは横殴りに降る雨といつもより澱んで見える庭の景色だけ。
可憐な彼女の後ろ背はどこにも見えない。長い黒髪も瞳も白い肌も…何もかも
(遅かった。)
Aちゃんが分かりやすく顔を歪めて泣く姿は初めて見た。あんなにも花のように笑ったり小さなことでも人のために真剣に物事に取り組む姿ばかり見てきたから。
僕は彼女のいるはずのない遠くを見つめ片手を頭に付けてどこにもぶつけることの出来ないむしゃくしゃした思いで壁に背をつけてその場にしゃがみこんだ。
「僕は……大好きだよっ……。」
頬に生ぬるい雫が流れ落ちる感覚を感じながら僕は何も出来なかった自分にイラつきを覚えその場で嘆くように言葉を紡いだ。
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本当につくづく自分には呆れてしまう。“おかしな夢を見すぎている”と。
(馬鹿だなぁ。)
そう思いながらも先程の天宮様の瞳が当たり前のように浮かぶ。冷徹でおぞましくて今まで見たことがないようなそんな恐ろしさを鳶色の目から初めて感じた。
(…怖い。人の裏側を知るのが怖い。)
傘も何も持たずに服は重く雨雫が降り注ぎ暗くすっかり色まで変わってしまっていた。けれど足は止めることがなく街中までずっと走って乱れた息を整えることは無かった。
すると急に視界がふらつき恐ろしいくらいに気持ち悪いめまいと体の気だるさに襲われた。周りの世界が歪み、ついにはそのまま気を取られ次第にはつまづき正面から倒れ込んだ。
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ヨル(プロフ) - コメントありがとうございます!何とかひねりにひねって作品を良いものにしていきたいと思いますのでよろしくお願いします (2020年1月16日 20時) (レス) id: 676346443e (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - この作品好きです!続き楽しみに待ってます! (2020年1月16日 20時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
パピヨンlove - ヨルさん» いやいや全然!バイト〜〜〜頑張れ!!!!!(元気玉)いつでも待ってるよ(イケウ``ォ) (2019年8月21日 1時) (レス) id: 96ecbd33f4 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - パピヨンちゃんおひさ!ありがとねー!!今、バイトとかの予定で中々更新頻度が下がってしまってね…気長に待ってて! (2019年8月11日 19時) (レス) id: 676346443e (このIDを非表示/違反報告)
パピヨンlove - ヨルさん久しぶり!!!!作品面白いね。読んでて楽しいよ!!更新頑張って! (2019年8月11日 13時) (レス) id: 96ecbd33f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜紅茶 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qZN5vxyJ6V2/
作成日時:2019年6月28日 15時