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「ただいま戻りまし…た。」
「あら、おかえりなさい。」
言葉に詰まらせ、私は目の前のテーブルの上に置かれているものに驚きながら奥様の姿を見た。奥様はエプロンを巻き、手にはパスタが乗せられた皿が二枚。
「お、奥様?その今運ばれているものは一体…」
「いい香りでしょう?ミートパスタを作ってみたの。」
「久々に作ったわねぇ」と言いながら奥様はパスタを美味しそうに頬張っていた。
…もしかして私が遅かったために?
「懐かしいわね、貴女を拾ったまもない頃は私も料理を振舞っていたわ。」
「奥様…」
「さぁ食べて?まずは食べなくちゃ元気が出てこないわよ?」
背中をホイホイと押され、椅子の上にと無理矢理座らされた。ホロホロとしたお肉の上には屋敷で栽培しているハーブが乗せられていた。
私はフォークを手に取り口の中へと一口入れた。暖かくも味が絶妙で、昔の出会った頃と似た味が広がった。
『美味しいです!どうやったらこんなに美味しくなるのですか?』
『ふふっ、それはね__“笑顔”を忘れないことよ?』
笑顔を忘れないこと…奥様は私に何よりも素晴らしいことを教えてくれた、そう、まるで実の親のように。
眩しすぎるこの人のお礼をしたい。私はいつしかそう思ってこの屋敷の専属使用人として働くことになったのだ。
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作者名:夜紅茶 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qZN5vxyJ6V2/
作成日時:2019年3月18日 7時