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「『パールライン』の代表“一ノ瀬彼方”、よろしく。」



目の前に座る空のような天色の瞳の男性は海と空が広がるパールラインの代表貴族様らしい。私も挨拶しようとしたけれど「まふから聞いた」と言われそのまま自己紹介は流された。

失礼だけど何だか…眠そうな雰囲気だな……



「そらるさん勘違いですよ。勘違いだって言ってるのに…」

「はいはい、俺の勘違いね」



相川様は椅子の上でハムスターのように丸まりながら体育座りをし、口の先を尖らせ拗ねている。

ここから見るとなんか可愛い感じもするけれど…本人に言ったらますます落ち込んじゃいそうなのでやめておいた。

一方、一ノ瀬様の方を見ると呑気に紅茶が入ったティーカップに口をつけていた。…一ノ瀬様、慰めてあげてくださいよ。



「ところでAさんって話聞いている限り浦田くんの婚約者なの?」


「んっ!?」



一ノ瀬様が急にそんなことを話し出すもんだから紅茶が私の喉の奥に入り込み、むせ返してしまった。

相川様は私の様子を見て慌てて私の背中を摩ってくれた。



「…っち、違います!!」


「なんだ、違うのか」


「当たり前じゃないですか!?誰があんな性格悪魔のドSに好意を持つんですか!!」



…あ、やばい。やけになりすぎて貴族様方二人の目の前で本音が出てきてしまった。

我に帰った時には二人の様子を見るとポカンとしたあとに下を俯きながらクスクスと笑っていた。


「う、浦田くんが…性格悪魔のドSって……」


「待ってください。お腹、お腹痛いです!」



どうやら話を聞くと浦田さんに惚れない人はほとんど居ないらしい。というか好意を持ってない人は余程感覚が鈍っているとまで言われているそうだ。

…つまり私って美的感覚が鈍っていると言われているのと同じだ。けれどあんな意地悪の人のどこがいいのかがさっぱり理解できない。



第四章【怯懦のオシロイバナ】→←・



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設定タグ:歌い手 , 浦島坂田船 , AtR   
作品ジャンル:ファンタジー
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作者名:夜紅茶 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qZN5vxyJ6V2/  
作成日時:2019年3月18日 7時

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