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紅茶を飲み終え、私はすかさず自分の分のティーカップを片付け始める。
奥様はというと紅茶を頂きながら号外に目を通しているご様子だった。
「…そういえば最近妙な噂が流れてくるの」
「どのような内容でしょうか?」
「近頃この街に国を代表する貴族がやって来るらしいのよ。目的は求婚者探しをする為にね?」
私が今在住する場所は『クライドスコープ』の中にある『トゥルース』という六つの国にちょうど囲まれている街のこと。
そのため真ん中にあり、様々な国の品が揃う市場があり盛んで賑わっている。
「興味がある?」
「…いえ、私には縁がない話なので」
「きっといい事あるわよ?気になるなら足を運んでみるべき。」
「お言葉なのですが、貴族様方は同じ貴族様同士の婚約が一番なのです。私がその人達に見初められることはございません。」
そう、私はただの使用人で奥様に仕えていることがなによりの幸せ、貴族様方に興味を持って浮かれていては執務の妨げになる
奥様は「…そう」と答えそれから貴族様方の話を出す事は一切無かった
私はそそくさと奥様のティーカップを片付けはじめ、キッチンへ逃げ込むように“本当は会いたい”などという気持ちを抑えた
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作者名:夜紅茶 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qZN5vxyJ6V2/
作成日時:2019年3月18日 7時