sugar×38 ページ39
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「…志麻？」
「なんやねん」
次の日の朝といっても今日は幸運にも休日だった。来週からまた月曜日が始まるけれどもその日は祝日だったから心置き無く休むことが出来る。
木製テーブルの上に並べてあったのはアサリや小海老などの海鮮類が入ったクラムチャウダーに小分けにされた焼き上がりの良いフランスパン。レタスにクルトンなどのサラダにシーザードレッシングがかけられてあるもの。デザートには瑞々しいオレンジと意外にも美味しそうなものばかりが並んでいた。
どこにあったのか腰に見覚えのない黒のエプロンを巻いて次々と食べ物を運んでいる姿があまりにも予想していなかった光景で度肝を抜かれるほどだった。
「え、ちょっと待って」
「好き嫌いするんじゃねぇよ餓鬼」
「いや別に嫌いなものはこの中にはないけど」
昨日まで朝食のちの字まで知らなかったくせにたった一日でこんなレベルの高いシェフみたいな料理を作っちゃうとかどんなチートなの？私教えた覚えなんてないよね？
…なんか負けた。すごい悔しいんですけど。
「ほら早く食えよ。せっかく作ったもん冷めるやろ」
「は、はい」
とりあえず言われた通りに湯気が立つクラムチャウダーにスプーンで掬ってそのまま口の中へ一つ運んでみた。
「えっ、美味しい」
ほんのりとした甘さに塩味が程よく効いていて具材とのバランスもしっかりと取れていた。しかも身体の芯まで温まって疲れが抜けていくように優しく溶け込んでいった。
「でもなんで志麻が食事の世話をやってくれたの？」
「俺が身の回りの世話をするって言ったやろ。口から出任せを言われたとか思われたくないし」
だから数日は無闇に働くな、と志麻は席に着いて食事を始めた。
全部、私のために？
「何？俺の顔になんか付いとる？」
「…ううん。あのさ」
食事をしていた手を止めて何となく自然に思ったことをそのまま伝えた。
「＿＿ありがと」
昨日も今日も助けて貰ってお礼の一つも言えていなかったからなるべく嘘偽りなく笑みを浮かべて志麻に感謝を伝えた。
志麻は一瞬目を見開いていたけれども少しずつ弧を描くような優美な微笑みに変わった。
「どういたしまして」
その日の朝は今までで一番穏やかで心地よく暖かい時間流れていく気がした。
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夜紅茶(プロフ) - ちょこさん» コメントありがとうございます！続編を希望していただきありがたいです！一応こぼれ話としてなにか書けないか検討してみます！ (2022年4月2日 11時) (
レス) id: 2017f33955 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです！その後話が欲しい！ (2022年2月21日 4時) (レス) @page50 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - さざんかさん» コメントしていただきありがとうございます！今後も作品を見守っていただければ幸いです！ (2020年4月13日 9時) (レス) id: 676346443e (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - 普段全く他の方の作品にコメントする事はないのですが、この作品は本当にドストライクなので初コメ失礼致します…！完結おめでとうございます！悪魔と天使のお話も凄く深いなと思いました。。伏線も凄く気になります…！今作品関連作品が出たらまた読ませて頂きます！！ (2020年4月13日 2時) (レス) id: 63429259c8 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - コメント、評価をしていただきありがとうございます！ご期待に添えるよう努力していく次第なのでよろしくお願いします！ (2020年4月3日 22時) (レス) id: 676346443e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨル | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qZN5vxyJ6V2/
作成日時：2020年2月24日 22時
