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「そういえば玉、あの話したの?」
「あっ………まだ………タイミングが……合わなくて」
「まだしてないの?」
「あの話って何ですか?」
見兼ねたように藤ヶ谷さんが話し出した
「こないだ久しぶりにコンペがあって、部長が玉に任せるって言ったんだよ!それで、そのコンペで本命は無理だったんだけど福岡の会社との契約取れて 玉が頑張ったんだから 玉の担当にしようってなって……」
「えっ?!なんで言ってくれなかったの?すごいじゃん!おめでとうっ!」
「…………ありがとう………でも………福岡だよ?出張で月に何日か福岡に行かなきゃならないんだよ?………俺、数日でもAさんと離れるのヤダ………」
「……………バカ!何子供みたいなこと言ってんだよ。仕事だろ」
北山さんに言われてあからさまにムッとする
玉森くん
「北山さんがいるから余計嫌なの!」
まるで子供だ………
「はぁ………だから、俺 何回も言ってるけど "結婚すれば?"そしたら、安心できるって玉言ってたじゃん」
「ちょっ!………ガヤさんっ!それは……///」
「………////」
藤ヶ谷さんのぶっ飛んだ返しに
私も玉森くんも赤くなる
「ダメダメっ!こんな子供みたいな男とAちやん、結婚させられねーから」
毒づく北山さんとすっかりおとなしくなってしまった玉森くん
2人で帰宅して部屋に上がろうとすると
玉森くんが私の服の裾を引っ張った
「………どうしたの?」
「………あのさ………さっきの話だけど……」
「………うん」
「…………俺やっぱり、担当外してもらう………」
「どうして?せっかくコンペで勝ち取ったお仕事でしょ?………頑張ろうよ……」
「……………Aさんは、俺と離れても平気?1週間とか帰ってこないかもよ?」
「………平気じゃないけど、理由が分かってたら頑張れるよ」
「…………」
ぐずる子供をあやすようにギュッと抱きしめると
玉森くんは何も言わずに引っ付いてきた
翌日………
朝起きると隣に玉森くんがいない
リビングの机には置き手紙があった
『ちょっと出かけてきます。探さないでね!』
「何これ………」
家出ではないような……
でも、何か企んでいるような……
そんな文面
冷蔵庫に置き手紙を貼り付けて
コーヒーを飲みながらテレビを見ていると
あっという間にお昼になった
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作者名:ゆり | 作成日時:2019年4月29日 16時