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"コンコン"
ノックの音がする
(あれっ？気のせいかな…)
"ドンドン"
(えっ、誰？……インターホンが鳴った様子はないし…)
恐る恐る覗き込むと
「えっ？！玉森くん？」
ガチャリとドアを開けた
「Aさん！ご飯一緒に食べませんか？」
「えっ？！扉ドンドン叩かないの！不審者かと思ったじゃない」
「………でも、Aさんなかなか出てきてくれないから寝てんのかなって思って」
「……………はなから起こす気だったのね……」
「はいっ！美味しいデリのお店、ガヤさんに教えてもらったんで一緒にどうですか？」
玉森くんが持ち上げた
袋からは美味しそうないい香りがする
「……………食べたいっ！」
「そうこなくっちゃ！」
食欲に負けた………
散らかった部屋をささっと片付けて
「汚い部屋だけど上がって」
玉森くんに上がってもらった
「へぇー……間取りは一緒なんですねー」
「人の部屋ジロジロ見ないの」
「あっ、このクローゼット 俺の部屋のやつより広い」
「角部屋だからじゃない？そんなに変わんないでしょ？」
冷蔵庫からビールを取り出して机に置くと
さっそくデリを広げた
「「いただきまーすっ！！！」」
カンパイもそこそこにおかずに手をつける
「えーっ！すごい美味しいっ！」
「さすが藤ヶ谷先輩ですよね！」
「うん、オシャレで美味しいお店たくさん知ってそうだもん」
「Aさん、自炊しないって言ってたからいいかなって思ったんですよ」
「あぁ……それはまぁ……うん…よく覚えてたね」
「はいっ！もちろん！」
褒めて欲しいのかドヤ顔でご飯を食べる玉森くん
「………そういえば、今更なんですけどAさん普通に俺のこと部屋に入れてくれましたね」
「えっ？あー……ダメだった？」
「いや………俺としては助かったけど、女の子だったらもうちょっと警戒した方がいいんじゃないかなって」
「あー……でも、全く知らない人じゃないし玉森くんは、ね？」
「………俺は警戒するまでもないって事ですか？」
「そんな言い方してないじゃない……急にどうしたの？」
「…………Aさんって彼氏いるんですか？」
「えっ？！居るわけないじゃない」
「なんで作らないんですか？社内でも狙ってるやついっぱいいるってガヤさんが言ってました」
「藤ヶ谷さんが？……私、狙われてないと思うけどな……」
「………………」
ムッとした顔で玉森くんはまた
テレビに目線を向けた
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作者名：ゆり | 作成日時：2019年3月30日 1時
