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留学中に恋愛なんてするつもりないし、そもそも友達すらできない私なんだから、こんなに容姿端麗な韓国の男性と接することなんてこれからもないよねって、ちょっとおかしくなってきた。
…よし、決めた。
やったことないけど…これ、ゲームか何かだと思おう。心臓を強く。ボムッと自分の胸を叩くと「いい心意気だ」と白い息を吐きながら笑ってくれた。
イケメンの手捌きを受けて、おまけにスケートを上達させるんだ！こんなに絶好のチャンスを逃すんでないA！
「私！やります！先生！」
「ヤ、急にやる気出てきたか？いいね、とりあえずひとりでリンク一周が目標だ」
「…え、厳しい」
「ん？」
「いや、なんでもないです、頑張ります！」
弱音を吐こうものなら、一重の目を鋭くさせて心を透かされるように見られる。だけど意外とスパルタな先生によって、私は段々とコツを掴んできた。
ひとりで一周は無理だったけど、右手を先生に持ってもらいながらゆっくりゆっくり半周進めるようになった頃、さっきのスピードスケート選手1が「ジ二ヒョン、帰りましょう」と寄ってきたので、私はリンクへの入り口まで連れて行ってもらった。
「よいしょ」
「はぁ、地面…」
久しぶりの滑らない地面、やっと会えたね、泣きそうだよ。
男性が荷物を取りにロッカーに歩いて行き、とんでもなくスケート上手な彼とふたりきりになる。
「で、誰ですか？」
これまたクールにキマってるモデルのような後輩さんだ。ふたりとも冬がすごく良く似合っている。類は友を呼ぶんだな…って疲れ過ぎてぼんやり考えてるけど、そうだ、えっとなんて言えば良いんだ？
「私が転んでたところを助けて頂いて…それで…」
「逆ナン？」
「えぇ？いや、そんな、」
「ヤーーージョングガーーー、そんなにイジメるなよ、彼女日本人だし」
本当に困ってる時に現れてくれるな…麗しい容姿も相まって、まるで本物の王子様だなんて思う私を許して欲しい。
「疲れたね、ココアでも飲む？あっちに自販機があるよ」
「あ…いや、大丈夫です」
「そう？すごく頑張ったみたいだから、ご褒美」
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作者名：09 | 作成日時：2021年10月17日 19時
