ピーチメルバ JN (ページ11)

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形のいい眉を上げて尋ねてくれるけど、でも…行っていいんだろうか…。確か、自動販売機はレンタルの靴が置いてある奥の方だった気がする。

今まで散々手を握ったり話したりしていたのに、少し落ち着いて冷静になったらいきなり怖くなってきた。どうしよう、きっと本当に親切な人なんだろうけど、もしかしたらって可能性がゼロだとは言えない。

男性ふたりに私ひとりだし、言葉は完璧に伝わらないし…逃げる場所もないし…えっと、でもこんなに優しくしてくれたのに拒絶するみたいなのは嫌なんだけど、でも…

「ふふ、僕たちそんな狼みたいに見える？」
「え、」
「いいのいいの、怖いよね。そこ、座れる？」
「えっと」

よくわからないけど少し切なそうに目を瞑り何かを思っているように肩を揺らして笑う彼が美しくて、ストンと言われた通りにベンチに座った。怒ったのかな…。更に緊張感が走る。

「ジョングガ」
「なんですか、買って来いって言うんですか？今ヒョンが買ってくればよかったじゃないですか！あっち行ったんなら…全く人使いの荒いヒョンだ…」

ごにょごにょと呟きながらも、察しの良過ぎる後輩さんは私と先輩を残し自販機へと歩いて行く。早口だし多分方言出てたと思うしあんまり聞き取れなかったんだけど、わかる…めちゃくちゃ怒ってるって…。

「本当にすみません…」
「ううん、いいんだよ。いつもあんなだから」

ぽふん、と頭に手を置かれた。首がすくんで思わず顔を上げると、キュッと口角を上げた優しい表情をするその人はやっぱり、全く悪いことをする人には思えない。

疑う自分が酷い人間に思えるし、後輩の方にも迷惑をかけてしまった…。

「謝らないでいいんだよ。しっかりしてるね」
「……え」
「靴脱げる？お友達全然帰って来ないけど、本当に大丈夫なの？」

私の座ったベンチの隣に座って、膝に手をついてアーーっとおじさんのような声を出す。

「あ…えと、はい、あそこに滑ってるの見えるし大丈夫です」
「そ？あーー、疲れたねほんとに、ハハ」

うーーんと伸びてポキポキと音を鳴らした後、後輩さんが小走りで帰ってきた。