２５─JMN side─ ページ25
『...俺、抱いてないよ、ジミナ。』
「...え？」
夜遅く、俺の元にやって来た
テヒョンアは言った。
──────────…
────…
『...ごめん、俺あの日抱いてないんだAちゃん。』
「...はっ、何言ってんだよ、、」
そして、テヒョンアは泣きながら
教えてくれたんだ、あの日のことを。
何度も謝りながら...
あれは、ただ話をしただけ。
それも、俺を後々傷付けまいとして
テヒョンアとAちゃんの中で
決めたこと。
また１つ、新しい真実を知って
それに俺はホッと安心もしたけど、
でも今更それを知ったところでどうなる？
俺はあの時、裕さんって人に
“ありがとう”って言われたんだ。
すでに敵に塩を送った後じゃないか。
裕さんとAちゃんは
お互いの気持ちを知って、
きっと２人の愛情の強さなら
今頃幸せ過ごしているだろうに...
『...あと、終わったんだって、あの２人。』
「...は？」
そんなわけないだろ...
だって２人はあんなにも想い合って...
『..裕さんに、終わりにしようって言われたんだって。』
「...なんで、そんな事お前が、、」
『..さっき、偶然仕事に来てたAちゃんと会って、聞いた。』
「...は、仕事って…」
『..でも、あと２ヶ月で辞めるって言ってた。
嘘ついてた俺がこんなこと言うのは間違ってるけどさ。
...いいの？ちゃんと気持ち伝えなくて。』
「...気持ち？、全部今更だよテヒョンア。
伝えたからどうなるの？
俺の存在はAちゃんの中に１ミリもないのが痛いほど分かるのに。」
そうだろ？テヒョンア...
『...じゃあ、どうしてそんな顔するの？』
「..ぁ、れ。」
テヒョンアに言われて気付いた。
涙が溢れていること...
彼女の中に自分が居ない事を
理解すれば理解するほどに、
結局はどうしようもない位、
Aちゃんが
心を埋め尽くしている事を...
たった数回会っただけ。
一目惚れも同然。
しかも俺が惚れたのは、
他の男を想っているAちゃん。
こんなにも、
人を好きになることが苦しいなんて
知らなかった。
「...俺、話したい。」
『...うん。』
確かに忙しい時間は、俺の心に
カサブタを作ってくれる。
でもそれは脆すぎて、一瞬で傷が疼く。
だったらいっそ、
深い傷を刻んでしまえばいい。
そう思ってたのに...
「久しぶり、Aちゃん。」
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作者名：ぽん | 作成日時：2019年10月2日 16時
