短編入れ (ページ5)

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いじめられっ子2 ページ5

毎日、学校に行くのが嫌だった
男子校に入ったのが間違えだったのか
俺みたいな弱くて女々しいようなやつは
毎日虐められて金を巻き上げられて
酷い時には……、思い出すだけで吐き気がする

「早く金出せよ。また殴られたいのか？」
ニヤニヤと笑いを浮かべながら俺の胸倉を掴むクラスメイト

「今、出すから…離してっ、」
パッと手を離されて突き飛ばされて、ぺたりと座り込む
口でも、殴り合いでも勝てないのはわかってる
痛いのももう嫌だから言われた通りに金を出して
言われた通りに身体を差し出す

「コレだけかよ、ショッボ！」

父さんがプレゼントしてくれた、財布
中身を全部抜き取って投げ捨てた

慌てて手を伸ばして財布を拾おうとしたら思いっきり手の甲を踏みつけられて…俺の口から漏れるのは痛みに耐えるための唸りだけ
なんて、情けないんだろう…
「ほらほら、早く拾ってみろよ」
1人がしゃがんで財布をつまむと俺の目の前でプラプラと揺らす
なんとか手を動かそうとしたらグリグリとさらに強くふみつけられた
「ゔぁああ、！」

悔しさと、痛みで視界が歪む
なんで、俺が…

「何してんだお前ら」

「げ…テグン…」

「何してんだって聞いてんだけど」

少し、長めの金髪に鋭い目
壁に寄りかかって腕を組んでこっちを見てる

チョンテグンはこの学園じゃ少し有名で
喧嘩したら右でるやつはいないとか
目を合わせただけでぶん殴られるとか…

でも俺は一度も彼が人を殴ってるところなんて見たことないし
こうやって弱い者いじめしてるところだって見たことない

一度だけ、誰も居ない音楽室でピアノを弾きながら歌っている姿を見た事がある
とても綺麗な声で、そんな暴力的な人には見えなかった
俺にはなんとなく、わかってた
チョンテグンは…優しい人だって

「た、たすけ…、っ」

誰でもいい、誰でもいいから助けて欲しかった
必死に、彼を見つめた俺は、どんなに惨めに見えてるんだろう
ゴスッ、て音がして思いっきり頭を殴られたか、蹴られたかわからないけど
俺はそこで気を失った

「おい、大丈夫か」
ペチペチ、と頬を叩かれて
目を覚ますとテグンが顔を覗き込んでた

「だ、大丈夫！ありがとう…」
「ほら、財布」

少し、拳が赤くなってる…？
俺のためにあいつらの事殴ったのかな…
俺が財布を受け取るとフッと、優しく笑って立ち上がって歩いて行く

慌てて立ち上がって俺はその後ろをついて行った

単純な話だけどそれから俺は、テグンが大好きになった。