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私はガラルをある程度周った後、違う地方にも行ってみたくなった為、少しずつ次の旅に出る準備を進めていた。
ナックルシティのカフェで他の地方の特集記事
『特撮!サザナミの海底遺跡!』を見ていた時、一本の着信によりナックルスタジアムの裏に呼び出された。
行ってみると、見慣れた背中がそこに。
「どうしたの、こんなところ呼び出して」
振り返ったのは、浅黒い褐色肌に、少し垂れた目元をしたナックルシティジムリーダーのキバナである。
「…あのさぁ、」
「…?」
いつもののらりくらりとした雰囲気は一体どこに行ってしまったのだろうか。
少し余所余所しいキバナに、わたしは首を傾げていた。
「ねぇ、キバナ。どうしたの?」
「あー…その、本当はダンデに1回ぐらい勝ってから言おうと思ってたんだけど…」
少し顔を赤らめた彼の表情から、言いたいことが何となく分かってしまった。
途端に心臓がうるさくなり、顔に熱が集まってくる。
「Aが好きなんだ」
真っ直ぐ、わたしの瞳を見る彼の口元からそう発せられたのを皮切りに、わたしの足は凄い勢いで来た方向へと向かってしまっていた。
「はっ?!ちょっ!A?!」
すでに遠くなったスタジアム裏のキバナの声を聞きながら、わたしはそのまま大きいリュックを背負い、逃げるようにイッシュに来てしまったのだ。
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「ほんと、バカね」
「…返す言葉もございません」
電話ですらソニアが呆れているのが痛いほど伝わる。
「そもそも何で逃げたのよ…って、今更こんな話してても意味ないか。とにかく!来月の10日!シュートシティのレストランに来てよね!来なかったら一生恨むから!じゃぁ!」
ブツッ!!!
「えっ、ちょっと!ソニア?!」
ツーツーツーツー…
聞き慣れた機械音を聞き、ため息が出る。
「…何で逃げたのかって…」
そんなの決まってる。
わたしもキバナが好きだった。
でも幼馴染だった。
小さい頃からずっと一緒だった。
仮に恋人になったとしても。
もし別れたら?きっと幼馴染には戻れない。
キバナに他の女の子と話さないでとか、そんな事言えない。言ったら嫌われるかもしれない。
「はぁ…。来月の10日って、後2週間後じゃんか…」
ソニアの報告は嬉しかったけど、なんだか複雑な気分になってしまった。
「ねぇ…どうしよ。マニューラ、シャンデラ」
苦笑いしているわたしを、2匹は不思議そうに見つめていた。
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華棚 - 「恋に恋して」良いですね!名○偵コ○ンで知って大好きな曲の1つです! (2019年12月12日 21時) (レス) id: 2a7a7ec279 (このIDを非表示/違反報告)
pusupusu(プロフ) - 華棚さん» 頼りにというよりは、雰囲気だけ味わってます。この作品だと切ない系の曲をいっぱい聴きますよ〜 (2019年12月8日 22時) (レス) id: 6d6a05232d (このIDを非表示/違反報告)
華棚 - アスノヨゾラ哨戒班も倉木麻衣さんの曲も良いですね!私には倉木麻衣さんは恋愛系が多いイメージがあるのですが、それを頼りに小説を書いているのですか? (2019年12月5日 19時) (レス) id: 2a7a7ec279 (このIDを非表示/違反報告)
pusupusu(プロフ) - 御巫さん» コメントいただきありがとうございます。特にテーマソングはございませんが、皆さんでお好きに当てはめて楽しんでいただければと思っております。余談ですが、わたしはいつも倉木麻衣さんの曲を聴きながら書いてます。 (2019年12月5日 12時) (レス) id: 6d6a05232d (このIDを非表示/違反報告)
pusupusu(プロフ) - 華棚さん» とても嬉しいコメントありがとうございます。わたしの好みが爆発してる作品ですが、これからも温かく見守って頂けると幸いです。 (2019年12月5日 12時) (レス) id: 6d6a05232d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pusupusu | 作成日時:2019年12月2日 21時