５ ページ45
・
翌日。今日はクリスマスイブだ。
一年で最も、洋菓子店が忙しい日。
ドンドンドン！！！と、扉を叩く音が、開店前の店内に響き渡る。
「なんだぁ！？」
カフェスペースをひとり、掃除していた塚ちゃんが、びくっと肩を震わせて扉を見た。
ショーケースの後ろでポップを取り替えていた私も、その音に慌てて顔を覗かせる。
けれど扉が開く様子は無くて、塚ちゃんと2人顔を見合わせる。
「何、今の」
「ちょっと、俺見てくる」
そう言って塚ちゃんが扉を恐る恐る開く。
「…ん？」
そのまま店の前をきょろきょろと見渡して、不思議そうにこちらを振り返った。
「…塚ちゃん？」
「…いない」
「え」
「誰もいないよ？」
塚ちゃんのその言葉に、すーっと背筋が寒くなる。
いやいや、今は真冬だっての。勘弁してよ。
「…き、気のせいかな！ね！さ、お掃除〜」
どうやら塚ちゃんも同じようなことを思ったようで、そそくさと掃除を再開させて奥に行ってしまった。
すると支配人がどこからともなくやって来た。
「おはよう」
思わず、びくっ！と肩を上げてしまって、不思議そうな顔をされる。
「そんなに驚いたか…？」
「あ、すみません支配人。おはようございます」
さっきのことには触れずに、慌てて挨拶を返すと、
「まぁいいや。今日は忙しくなるから、よろしくな」
と言って、ぐるりと店内を見渡した。
「まぁ、いつも綺麗だし大丈夫」
そう言ってにっこり笑い、次は厨房へと消えていく。
私も、今日の予約リストの確認をしておかなきゃ。
そうしたら店の看板を出して、掃除をして、店を開ける。
いつものルーティーン。
さあ、今日はまだ始まったばかりだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
