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「…魔法？」
そんな商品名のケーキは、うちには置いていない。何かの物語に出てくるケーキだろうか？
特徴を聞いたら、ヒントが分かるかしら。
「あの…魔法のケーキって、どんな感じのケーキかな」
「わかんない」
「えっと…ショートケーキみたいなのとか、タルトとか、あとはロールケーキとか…あ、このショーケースの中に似たようなのあるかな」
そう言ってショーケースを指さすと、男の子は近付いて、ショーケースを眺める。
そして、首を横に振った。
「うーん、わかんない。でもまほうのケーキなんだ」
その答えに思わず、目をぱちぱちしてしまう。
これは…大変だ。
「ええっと…魔法って、魔法使いとかの魔法よね」
「そう」
「どうしてそのケーキを探してるの？」
「えっと、お母さんが元気ないから」
男の子はそう言って、まっすぐに私の目を見た。
意志の強そうな、黒目がちの瞳に、なんだか吸い込まれそうになる。
お母さんのために、ケーキを買っていこうとしているんだ。
なんとか、そのケーキを探し当ててあげたい。
そう思って郁人か良亮に相談しようと思ったけれど、2人ともついさっき買い出しに出掛けたばかりだ。戻ってくるのは当分後だろう。
こういう時に限って、店内には私一人。
でも、すぐそこの部屋には支配人もとっつーも塚ちゃんもいる。
休憩中だけど、ちょっとだけ知恵を借りようかな。
「ねえ…ちょっと待ってて？他の人にも聞いてみるね」
慌てて男の子に声を掛けてから、事務室の扉をトントン、と叩く。
「ごめんね、休憩中に」
「…Aちゃん？どうしたの？」
「あのね…」
男の子の話を簡単に説明して、心当たりが無いか聞く。
けれど、小説に詳しいとっつーでも、そんな物語あったかなあ、と首をひねっている。
「そっか…ごめんね、ありがとう」
男の子にどう伝えたら良いか分からないまま、店に戻る。
「ごめんなさい、お待たせ……あれ」
そこに居たはずの場所に男の子は居なくて、店内をキョロキョロと見渡す。
カフェの方も歩いて、ショーケースの後ろなんかも覗いて、もしかして、と思って厨房まで覗いてみる。
けれど、どこにも男の子の姿は無かった。
「…あれ？」
ここにはない、と思って帰っちゃったのかな。
なんとも言えないもやもやが心の中に残る。
魔法のケーキ、探してあげたかったな。
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
