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公園から五つ星までの道を、良亮と並んでゆっくり歩く。
静かな住宅街に、2人の足音だけが響いている。無言の時間が心地良い。
しばらく歩いて、思い出したように良亮が話し出した。
「ねぇ、そうだ。Aちゃんは知らないよね。おれがどうして、河合さんの弟子になったのか」
「…うん、知らない」
「あのね、まだ高校生の時かな」
良亮が、その時を思い出すように、上を向く。
「おれ、その日いろいろあって、めちゃめちゃ落ち込んでて」
「何があったの？」
「んー、その辺は長くなるからまた今度」
そう言って、良亮はへへ、と笑う。
「そしたらたまたま前を通ったオープンしたてのケーキ屋さんから、なんか怖い感じの男の人が出てきて、なんかすっげぇ目が合ったの。それが河合さんだったんだけど」
「へぇ」
今の郁人からは、怖い、という単語は想像できないけれど。
あの綺麗な顔立ちで、真顔の時だったら、怖いと思っても不思議じゃないかもしれない。
「そしたらさ、『なぁ、ケーキ食わない？』って言ってくるわけ。怪しいじゃん」
「ぷ、怪しい」
「でしょ？でもさ、おれケーキ好きだから。食うって言ったんだよね。なぜか」
なんでだろうなあ、今でも思い出せないんだよなぁ、と良亮が首をひねる。
良亮はカンが鋭いから、何となく、感じるものがあったのかも、なんてこっそり思ったけれど、言わないでおいた。
「それで店に入って、出てきたケーキがフルーツタルト。それがめちゃめちゃ美味しくてさぁ。これだ！って思って。このケーキだ！って。俺はこんなケーキを作れる男になるぞって」
フルーツタルトの味を思い出したのか、良亮がとろけたような顔になる。
その気持ちは、分からなくもない。だって、郁人のケーキは、そのくらい美味しい。
「おれは、あの人のフルーツタルトに惚れ込んで、パティシエ目指したの」
良亮が、キラキラした目で話す。
その笑顔があまりにも眩しすぎて、思わず目を細めてしまった。
「うん、その話は、前に聞いたことあるよ」
「そうだっけ」
「うん。人生でいちばんうまいケーキだったって言ってたよね」
私がそう言うと、良亮はふふふ、とくすぐったそうに笑った。
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
