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「どうぞ、入って」
そう言って、ドアを開けると、オープンしたばかりでまだお客様のいない静かな店内に、カララン、というベルの音が響いて、消える。
りんこちゃんが、おずおずと店内に足を踏み入れる。
「Aちゃん〜、そういえば今日…って、あれ、その子」
奥から出てきた塚ちゃんが、りんこちゃんを見止めて、それから私を見た。まんまるの目がきょろきょろと忙しく、りんこちゃんと私を往復する。
「え…Aちゃん…もしかして」
「ん？」
「隠し子」
「んなわけないでしょーが」
「あ、あぁそっか、そうだよね」
うんうん、と慌てて頷いてる。何をどうしたらそう言う思考になるんだか。
「じゃあ、お客様かな？お母さんは？一緒じゃないの？」
塚ちゃんが、りんこちゃんの隣にぴょこん、としゃがんで聞く。
「あ、待って塚ちゃん、この子は…」
「まいごなの、わたし」
りんこちゃんは、やっぱりハキハキとそう言った。しっかりしてる子だ。
「まいごなんだ」
塚ちゃんが、こてん、と首を傾げる。
「うん、とりあえず話聞こうかなと思って、入れちゃった」
「そっかそっか、うーん、何か飲む？オレンジジュースとか」
塚ちゃんはそう言って、カフェの方にりんこちゃんを案内しようと立ち上がった。
すると、りんこちゃんはふいっと視線をショーケースに向けると、塚ちゃんの脇をするりとすり抜け、真っ直ぐに向かっていってしまった。
「タルトタタンないの？」
ショーケースにべったり張り付いて、りんこちゃんが言う。
「あぁ、もう１回拭き直さなきゃ…」という塚ちゃんのぼやきに申し訳なさを持ちつつ、今はスルー。
「タルト・タタン…今は、置いてないわね」
「なんで？」
「良いりんごが入った時は並んだりするけど…」
「ふうん」
りんこちゃんが、不満げに唇を尖らせる。
よっぽど、タルト・タタンが食べたかったらしい。
「タルト・タタンを知ってるなんて、その歳にしてはやるね、お嬢さん」
と、にこにこ話し掛けたのは、今しがた奥から出てきたとっつー。
「タルト・タタンは、失敗から生まれたケーキなんだよ」
…あ。やばい。この流れは。
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
