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・
「はい」
と、いつの間にかどこかへ行っていた郁人が、突然、小さな箱を佐々木さんの目の前に置いた。
「…これは」
「いつものやつです。イチゴショート２つ」
「え…でも…」
「2人の思い出の味なんでしょ？…一緒に食べてくださいね。佐々木さんが、次に進むためにも」
郁人が柔らかく微笑むと、佐々木さんは目を大きく見開いて、小さく息を吸い込んだ。
その目から、涙が次々と零れ落ちる。
「…あ……」
「ちゃんと、フォークも２つ入れておきました」
郁人が、まっすぐに佐々木さんの目を見る。
支配人も、良亮も、塚ちゃんも、とっつーも、郁人と佐々木さんのやり取りを温かい目で見守っていた。思わず、私の目にもじわりと涙が滲む。
「これ食べて、次に進んでください。彼女はそれを望んだんだ」
「でも」
「それで、時々はこの店に来て、これ食べてさ、その時間だけ思い出すくらいなら、きっと彼女も許してくれますよ」
そう言って郁人が笑うと、佐々木さんはぼろぼろと大粒の涙を零しながら、ありがとうございます、と何度も頭を下げていた。
☆
「それにしても」
佐々木さんが帰った後の店内で、支配人が顎をさすりながら言う。
「河合もなかなか粋なことするよね」
「それ思った。ふみとやるじゃん」
「はっしーそれバカにしてる？」
「してないしてない」
「でもさー」
と、良亮と郁人がわいわい言い合っているのを横目に、塚ちゃんが言う。
「なんかいいね、こういうの。人助けした！って感じ」
「ただ話聞いてただけだけどな」
とっつーが、塚ちゃんの肩にぽんと手を置き、満面の笑みでそう言った。
「まぁ、そうなんだけどさ…A？なに笑ってんの？」
「え？…いや、なんか、平和だなぁと思って」
さ、営業再開だね、という支配人の一言で、それぞれが仕事に戻っていく。
入り口の扉に掛かった札を「OPEN」に戻すと、カララン、という小気味いい音が響いた。
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
