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「それから、願掛けのように毎週、イチゴのショートケーキを買っていきました。本当においしそうにぺろりとケーキを平らげるさやかを見ていたら、このまま元気になるんじゃないかって、本気で思って」
「…だから最初、フォークを入れてくれって言ったんですね。そのまま病室で食べるから」
「そうなんです。でも、看護師さんが気を利かせてくれて。それからはお皿とフォークをいつも病室に準備してくれました」
佐々木さんが、その時のことを思い出したかのようににっこりと微笑む。
だけど、その顔はすぐに、曇ってしまった。
「でも、段々食べられる量が減ってきて。覚悟はしていたつもりでした。でも、全然そんなことなくて」
突然でした。と、佐々木さんの顔が歪む。
涙がぽた、と、テーブルに落ちた。
『ねぇ、あたしがいなくなったら、あたしのことはきっぱり忘れて、幸せになってね』
さやかさんは、ある日突然佐々木さんにそう言ったという。
「そんなこと……そんなこと、できるわけないだろ、って」
ぽたぽたぽた、と、次々に涙がテーブルに落ちて水たまりをつくっていく。
「…もしかして、ケーキが1つだったあの日は」
私が聞くと、佐々木さんは小さく頷いた。
「えぇ、あの日です。彼女が亡くなったのは。気付いたら、ここに来ていました。でも、もうケーキは1つでいいんだなって思ったら、もうだめで」
佐々木さんの悲しみが、痛いくらいに伝わってきて、胸がぎゅうっと苦しくなった。
「…すみません、みなさん。こんな、ただの客の話を長々と」
「いいんですよ！全然、そんなの」
「むしろ、関係の無い僕たちにお話してくださってありがとうございました」
塚ちゃんととっつーが、にこにことそう言うと、佐々木さんはいつもこの店に来ていた時のような優しい笑顔になって、ふんわりと笑った。
「関係が無いからこそ、話せるんですよきっと」
人生の中で、通り過ぎるだけの存在。
関係が無い、と言うと少し寂しく聞こえてしまうけれど、だからこそ話せることだって、あるはずだ。
この店が、いろんな人の人生の中に少しでも存在して、心を軽くできていたらいいな、なんて思うのは、少し夢を見すぎているかしら。
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
