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「理由ならありますよ。」
「ほぉー。」
明石が左手で刀を振るう。
私は咄嗟に避ける。
「審神者を殺せば貴方は罪人となり、政府に強制的に折られます。蛍丸はきっと、そうならないで欲しいと思っているはずです。」
「はっ、安っぽい説得やなぁ。」
右腕を斬られる。
「そんなん蛍丸の考えやのうてあんたの考えやないの？」
「…っ確かにそう、ですが。」
私は式神を用意する。
しかし、足を引っかけられこけてしまい、式神を奪われぐちゃぐちゃにされる。
私は立とうとしたが、膝裏を斬られてしまう。
「自分は刀。本来人を斬る為に存在してるんですわ。本分を果たせて復讐も果たせて死ねるなら本望や。」
「しかし…！」
くそ、痛みで立てない…！
「とはいえ、自分あんまり人間斬った事無いんで勝手が分からんのですわ。……試し斬り、させてもらえます？」
そう言い、彼は刀を振り下ろそうとする。
ここまで、か…。
私は目を瞑る。
カキンッ！
「普段ダラダラしてる割によく動けるじゃねぇか。」
この声…！
私は目を開ける。
すると、目の前には月光に照らされ白く輝く者がいた。
「なん…で……。」
「よっ、審神者。驚いたか？」
何で寝ているはずの彼が…？
「…どいてくれまへん？」
「断るって言ったら？」
「あんたも斬るしかありまへんなぁ。」
私のせいで2人が斬り合いになるなんて…。
止めないと。
私は式神を取り出し、2人の間合いに投げる。
式神が大きな物体となり、彼らの刀によって斬られる。
そしてリボン状の紙となり、彼らを拘束する。
「な、なんやこれ…！」
「明石は人間を斬りたいのでしょう？ならば鶴丸では無く私を斬りなさい。」
私は明石の拘束を解く。
「刀剣男士同士で争うなんて事、あってはなりません。私を殺せば済むのですからやるならさっさとやりなさい。」
明石を睨みつける。
すると、彼はため息をつきながら刀をしまう。
「なんや、ほんまにあの女と繋がってないんやな。」
何故今の行動でそれが分かったのだろうか。
…まあ、誤解が解けたなら何でもいいか。
「ちょい気が立って冷静に考えれんかってん。誤解して怪我させたんは謝る。詳しい事は昼に話すんで、鶴丸はんは審神者はんを手当してくらはる？」
「怪我…？」
鶴丸は私の膝裏と右腕を見る。
「何で立たないのかと思ったら…。」
鶴丸は私をおぶる。
「しっかり掴まってろよ。」
「…はい。」
そう言うと、彼は走り出した。
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作者名：桜花 | 作成日時：2020年4月24日 0時
