７０畳 ページ11
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「はいこれポカリ飲んで。お粥今から作るからキッチン借りるぞ。病院は行った？…じゃあ午後には連れてくからとりあえずお粥食ったら市販薬だけどこれ飲んで。うし、とりあえずベッド戻るぞ」
インターホンの音を聞きベッドからゆっくりと落ちて、歩く元気もない私はよろよろと玄関まで這い蹲って移動する。
最後の力を振り絞って立ち上がり、覗き穴も見ずに玄関のドアを開けた。
…そして冒頭の台詞を開口一番。息継ぎなしで言われた私はとりあえず病院に行っていないことを首の振りだけで伝え、キヨに肩を貸してもらいながら再びベッドへと戻された。ここまでで約30秒。キヨの勢いにされるがままである。
「会社には連絡した？…そう、ちゃんと休めて良かった。吐き気はする？……んー、じゃあお粥は無理そうだな。ゼリー飲料だけならいけそう？、よし。とりあえず冷えピタ貼るか」
先程会社への電話で自分の声がカスカスで死にそうな事は分かっている為、やはり首だけで答える。
ガサガサと大きめのビニール袋からゼリー飲料や市販薬、冷えピタを取り出して看病の準備を進めていくキヨ。
その様子をぼーっと眺めながら、キヨしっかりしてるなぁなんて他人事のように考えていた。先程の寂しさはすっかり抜け落ちて、ゆるゆると緩む頬は抑えられなかった。
あっという間に私のおでこには冷えピタが装着され、温められたポカリを飲まされ、ゼリー飲料を渡される。
「……はぁ、もう、」
ベッドの上で上半身だけ起き上がらせてちまちまとゼリーを飲んでいると、それを見ていたキヨがどさりと私のベッド横に座り込み、ため息を吐きながら力が抜けたようにこちらに倒れこんできた。
布団に埋まった頭を見つめる。顔が見えなくて、やはり迷惑だったかと謝ろうとした時。
「心配した。…めちゃくちゃ心配した」
くぐもった声だけが聞こえてきて、私の心臓はぎゅっと締め付けられるように痛んだ。
ふわりとした頭を撫でるように触る。顔を上げてこちらを見た彼の表情は、初めて見るものだった。
眉は下がっているのに少し怒っているような、安心したような、泣きそうな、色々な感情が混ざったそれで。
「…でも、弱音言ってくれたのが俺で死ぬほど嬉しい。ムカつく。すき」
なんでムカつくんだと眉を寄せるが、最後に聞こえたすきの2文字と、ふいに動いたキヨがこめかみに唇を落としてきたことによって私の思考は全部持っていかれてしまった。
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千~かず~��(プロフ) - 一気読み失礼しました、、！！にやけ止まらん（）更新応援してます！！ (2021年7月5日 4時) (
レス) id: 18a1b4d95a (このIDを非表示/違反報告)
moon(プロフ) - 何回も読み返しててニヤニヤしてます笑更新待ってます (2021年4月17日 7時) (レス) id: d4aa8c24fc (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - このドキドキさ最高です。更新を応援と共に待ってます! (2021年3月18日 17時) (レス) id: eeae592cb5 (このIDを非表示/違反報告)
坂田銀糖(プロフ) - 外野さん、一気に読ませていただきました。夢主が腹を決めてどう展開するのか、キヨさんとの関係……ドキドキしました。更新待ってます！ (2020年12月11日 20時) (レス) id: 4e79a91855 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬。(プロフ) - とっても面白くてドキドキします…！更新待ってますね！ (2020年4月18日 17時) (レス) id: 63bc0d8925 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：外野 | 作成日時：2019年1月16日 4時
