月 “pink” “blue” ページ20
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side black
「ねぇ、樹飯行こうよ〜」
「今日は無理、」
「なに？また彼女？」
楽屋で繰り広げられる会話、
いつものように慎太郎が誘ってみんなが断る
ただそれだけのこと
…なんだけど、聞きたくなくて耳を塞ぐ
「樹の彼女可愛いもんな料理もうまいし！またご飯ご馳走してほしい〜」
「そんな何度も食わせねえよ」
樹の彼女、だって
半年前からよく聞くようになったフレーズは
慣れたようで未だに俺の心を蝕んでくる
「じゃあ樹以外で行こうよ！」
「パス」
「俺もパス〜」
早速首を振ったのは高地と京本で
北斗は？とウキウキした声で慎太郎が振り返る
「あ、俺」
「北斗もパスだって〜」
俺が言うよりも早く隣に座る京本が言った
「…え」
「ね、北斗」
「あ、うん」
ふふ、と笑った京本に心の中でありがとうと呟いた
「じゃ、お先」
樹が楽屋を一番に出て、飯に行くらしいジェシーと慎太郎も続いた
「大我帰る？」
「うん、これ片付けたら〜」
「じゃー俺先に帰るぞ」
いつも準備の遅い俺は当然のように最後、なんだけど
「…帰らないの？」
「一緒に帰ろうかと思って。準備できた？」
一緒に帰る？
頭に疑問は浮かんだけど、さっき助けてくれたことだし
「ほら帰ろ」
右手を掴まれ、そのまま楽屋を後にした
初めてちゃんと掴んだ手は温かくて優しくて、
傷んだ心を溶かしてくれるみたいだった
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作者名：ぷりむら
| 作成日時：2021年3月10日 15時
