僕らの思い出。〈短編集〉

彼奴とゲームと俺と…。１ ページ10

黒*紫








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久々に２人で過ごすプライベートな時間。
それなのに俺に見向きもせずにゲームの画面と睨めっこしている彼奴。




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別に一緒に居ってもお互いに好きなことをやっていてもかまわへん。
俺も家のことや猫のことやってたりするから、そんなのお互い様や。




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でも…
でもな？
今回はホンマに久々なんよ。









お互い忙しくて仕事場でしか会えへん日々が続いとる。
仕事場やとそんなに会話なんてしない俺ら。









やからな？
今日くらいは会話したり、ちょっとくらいスキンシップがあってもええな…なんて思うててん。









それなのにロクな会話もなくゲームに集中しとる彼奴に柄にもなく構ってほしいなんて思うてしまってる自分が居る。









「なあ、きみ〜…まだ終わらへん？」

「んー？もうちょい…。」









そんな会話がこれで５回目。
彼奴のもうちょいはアテにならへん。









俺とゲームどっちが大事やねん！なんて女々しいことは言わんよ。趣味はどんどんやってほしい。俺かてフットサルやっとるしな。
でも正直、きみ不足やねん。









同じ空間に居るはずやのに何でこんなに寂しい気持ちにならなあかんのやろ…。
そんなことを考えていると鼻の奥がツンとなって視界がぼやけてくる。









情けな…っ！
こんなことで泣きそうになってるとかアホやん、俺。
表情がバレへんようにクッションを抱きかかえて顔を埋めた。







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