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「わぁっ! 優香ちゃん!
土星の輪っか見えたよ!」
「ほう!
俺にも見せてくれ!」
突然隣から聞こえた声に、私は慌てて望遠鏡から目を離す。
「れ、煉獄先生?」
すぐ隣に現れた煉獄先生の顔に驚いて、身を仰け反らせてひっくり返りそうになった私の背を、煉獄先生が支えてくれる。
「ほら、危ないぞ。
……俺には見せてくれないのか?」
「あっ、はっ、はい! どうぞ!」
望遠鏡の前を先生に譲ると、先生は望遠鏡を覗き込んで嬉しそうな声を上げた。
「ふむ!
本当に土星には輪があるのだな!」
「はい!」
「本で見たままだ!
すごいな!」
「でしょう?」
先生は嬉しそうに笑ってこちらを向いた。
その子供の様な笑顔に胸が鷲掴みされてしまう。
「あ、他に木星も見えるんですよ!」
私は煉獄先生に説明しようとして、足元の星図に手を伸ばす。
「杏寿郎、ちょっと」
「む? すまん、また後でな」
その時後ろから、高橋先生が煉獄先生を呼ぶ声が聞こえた。
煉獄先生が高橋先生の所へと向かう。
――呼び捨て、なんだ。
『杏寿郎』って、すごく自然に呼んでた。
チリ、と胸の奥が痛む。
二人を横目で見ると、私から煉獄先生は背中しか見えない。
でも、高橋先生の楽しそうな笑い声が聞こえる。
その時、高橋先生と目があった。
高橋先生は一瞬を動きを止めたけれど、そのまま煉獄先生の肩に手をかけて耳元で何かを囁き、こちらを見たまま目を細めた。
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華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、いつもコメントありがとうございます(*´ `)うわああぁ、そんなふうに言ってもらってすごく励まされます!これからも拙い文章ですが是非是非よろしくお願いします!(*´艸`*) (2021年9月17日 3時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 おはようございます!華様の情景が浮かぶ様な素晴らしい話、本当大好きです!!長いなんて思わないくらいいつも楽しい読ませて頂いてます\(//∇//)\ お忙しいのに、いつも更新ありがとうございます!! そして、煉獄先生ー。がんばれー!!次も楽しみです!! (2021年9月16日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)先生はきっと大正軸より少し歳上なので、中身は大人のイメージです。ゆい様の元気の元になれましたか?(*´∀`*)こちらこそありがとうございます!! (2021年9月9日 18時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 夢主ちゃん、よかったですーやはり、先生は頼りになってかっこいいし、ステキです。、、、最後のムフフな展開もドキドキですーー。今日は仕事がんばろーって、思えました!!ありがとうございました!行ってきます!!(*^ω^*) (2021年9月9日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)連れ去るのも良いけど、夢主ちゃんはきっと最後まで仕事をやり遂げたいだろうな、でも心配だから見守るんだろうな、と言う感じです(*´艸`*) (2021年9月2日 21時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=punishop
作成日時:2021年3月29日 8時