145 ページ2
それから、焼き鳥を食べたり、パイン食べたり、とうもろこしを食べたり、焼きそば食べたり、ポテトを食べたり。
先生に勧められるまま食べたら、私はあっという間にお腹が一杯になってしまった。
「も、もう食べれません！」
「遠慮するな！
ほら、綿あめが売ってるぞ！」
「ひいっ！
本当に無理ですっ」
私が顔の前で両手でばってんを作ると、先生はもっと食べさせたいのか眉尻を下げて残念そうな顔をする。
本当に無理だからね、私、これ以上食べたら浴衣だし帯苦しいし、色々お口から大変な物がまろび出ちゃうよ！？
「本当にお気持ちは嬉しいんですけど、食べ物はまた後で……
あ……」
「む？」
私の目には射的の出店が目に入る。
――これ、先生にして欲しいな。
そう思って先生の顔をチラリと見上げると、先生は私の視線を追って振り返る。
そして、あぁ、と呟いた。
「……射的か？」
「あのっ、先生、射的しませんか？
私おごりますから」
「ありがとう！
気持ちだけ受け取っておこう！
じゃあ今度は二人でしよう！」
先生はそう言うと、早速お店の人から二人分のコルクの玉を受け取って、私に手招きをした。
私は先生の隣に並ぶ。
「手本を見せるから、俺を見てろ。
どれか欲しいのはあるか？」
「いえ、どれでも良いです」
「そうか」
先生はそう言うと、銃を構える。
その真剣な横顔に、ドキリと心臓が跳ねた。
獲物を狙う鋭い瞳。
狙いを定め、ゆっくりと引き金を引く。
パン！
軽い発砲音がして玉がキャラメルに当たって、少し奥にずれる。
「む……やはり、飛び道具は苦手だな」
「わあっ！
当たった！ 当たった！
すごい！！」
先生は少し照れ臭そうに笑うと、もう一度銃を構えた。
パン！
寸分違わぬ所に玉が当たって、キャラメルが落ちる。
「おめでとうございまーす！！」
店員さんがベルをガランガランと鳴らし落ちた景品を持ってきてくれて、周りから拍手が巻き起こる。
先生は少しホッとした様に笑って、受け取ったキャラメルを私にくれた。
――
あぁ、私、昔こうやって先生とお祭りに行ったんだ。
そう思って何だか胸が一杯になった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 559人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、いつもコメントありがとうございます(*´ `)うわああぁ、そんなふうに言ってもらってすごく励まされます！これからも拙い文章ですが是非是非よろしくお願いします！(*´艸`*) (2021年9月17日 3時) (
レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 おはようございます！華様の情景が浮かぶ様な素晴らしい話、本当大好きです！！長いなんて思わないくらいいつも楽しい読ませて頂いてます\(//∇//)\ お忙しいのに、いつも更新ありがとうございます！！ そして、煉獄先生ー。がんばれー！！次も楽しみです！！ (2021年9月16日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)先生はきっと大正軸より少し歳上なので、中身は大人のイメージです。ゆい様の元気の元になれましたか？(*´∀`*)こちらこそありがとうございます！！ (2021年9月9日 18時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 夢主ちゃん、よかったですーやはり、先生は頼りになってかっこいいし、ステキです。、、、最後のムフフな展開もドキドキですーー。今日は仕事がんばろーって、思えました！！ありがとうございました！行ってきます！！(*^ω^*) (2021年9月9日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)連れ去るのも良いけど、夢主ちゃんはきっと最後まで仕事をやり遂げたいだろうな、でも心配だから見守るんだろうな、と言う感じです(*´艸`*) (2021年9月2日 21時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：華 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=punishop
作成日時：2021年3月29日 8時
