白鯨の翼 (ページ30)

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《ようA！今日もやるのか！》
『うん、もちろんだ』
《ならいつも通りビスタに賭けといてやるよ！》
『言ってろばーか！』

毎日を同じルーティーンで過ごして2ヶ月近く経った
腕を磨くのは嫌いじゃないけどそろそろ結果が欲しい

いつも通りビスタを捕まえて甲板に引っ張っていけば、すでに集まったギャラリー

この場にいるやつはどうせみんなビスタにベットだ
今に見てろ、ジャックポットで大損かかせてやる

マルコ「よお、調子はどうだよい、A」
『うん、いい感じだ』
マルコ「そりゃ期待できそうだねい」
『マルコ』
マルコ「うん？」
『今日は私に賭けといた方がいいぞ』

朝起きた時からなんとなく全ての感覚が鋭い
人の気配がいつもより気になる
最初から見聞色を使っても問題なさそうなぐらいだ

実際、普段なら吹っ飛ばされる攻撃も今のところ対処できてる
それどころかだんだん精度が上がってきてるような気さえするぞ

まあかと言って、それだけで勝てるほど甘い相手じゃないのも事実だけど

『ゼエッゼエッ…、まだまだぁ…』
ビスタ「なかなか…ハァ、着いて来れるようになったじゃないか…ゼェ…」
『ヘヘッ…ハァ…ありがと…ゲェッホ…』

満身創痍とはまさにこのこと、何回攻撃に転じても流される
でも、まだ致命傷はもらってない、かすり傷程度だ
なんて考えてる余裕ない
既に切れ切れの息を整える暇もなく、ビスタが床を蹴る

この速い突きが何より怖いんだ
斬撃なら剣で弾けるけど、突きは面積が小さいから避けるしかない、動きを制限される

そら来た、左を避けたところに右からの斬撃
よく見ろ！見えてりゃ流せるだろ！

畳み掛けられる攻撃を受け流して間合いを確保する

もっと、もっとだ！
もっと集中しろ！

脳みそを空にするんだ
攻撃を掻い潜れ
とにかくビスタに勝つことだけ考えろ！