57話 ページ8
岳斗side
「うっ……怖かった……！！ お、お父さん……お母さん……それに、他の人……みんな……動かなくなって……！！ 私も……食べられちゃうんじゃ……ないかって……！」
嗚咽をしながらも、店の中であった事を話そうとする。
俺は「よく諦めなかったな」と泣いている女の子の頭を慰めるように優しく撫でた。
「園崎っ！！ 」
屋根の下から聞き覚えのある声が聞こえ、下を見下ろすと、騒ぎが気になって群れてきた人達の最前に疾風がおり、こちらを見上げていた。
「グギャァァ……！ 」
攻撃を受けて倒れていた魔隆は呻き声を上げながらゆっくりと起き上がってくる。
斬った時に確実にやったと思ったが、まだ倒すには浅かったのだろう。
「こうなったら……疾風っ！！ この子を受け取れ！！」
疾風に向かって女の子を投げると、疾風はいきなりの事で驚くが、すぐ様両手を広げ、落ちてくる女の子をしっかりとキャッチした。
「ナイスキャッチ！ 」
「グギャギャギャギャァァァァァァァアアア！！」
激怒した魔隆は俺が疾風達の方を見ている隙に、不意打ちで喰らい付いて来ようとする。
それに気づいた俺は、咄嗟に右の方へと飛んで躱すが、足が屋根に着くと、身体がグラっと後ろの方へと傾き、屋根から足が離れてそのまま屋根から落ちて行く。
「あっ……やべ」
一瞬死を覚悟するが、運良くゴミ袋のとこへと落ちていった。
「っ……はー、マジで死ぬかと思った……」
安心したのもつかの間、屋根から魔隆が飛び降りて来て、俺の方に向かって鋭い爪で刺しかかりにくる。
「うぉっ！？ 」
フレアスブレイドを前に出して攻撃を受け止めるが、魔隆の攻撃はとてつもなく重かった。
やっぱ攻撃が重い、シミュレーションの時の魔隆の比じゃねぇ。このままじゃ力負けする……！！
「……でもよ……そこで諦める俺じゃねぇ……！！ 」
身体の中に巡るリクトルをもう一度感じようと集中する。
燃え上がるような感覚をさっきよりもハッキリと感じ、その燃え上がる炎をリクトルと一体化させようとする。
「フレイムギア！！ 」
リクトルとギアを一体化させると、フレアスブレイドに赤く燃える炎が纏い、魔隆の腕を炎が伝っていく。
「グギャッ！？ グギャァァァァァァァァァアアアア！！！！ 」
フレアスブレイドから手を離し、炎の痛みで叫び声をあげながら、必死に炎を消そうと腕を振る。
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