83話 ページ34
岳斗side
「……助けたいなら好きにしろ。死んでも俺は知らな____」
そのまま去ろうとする疾風の横を通り過ぎ、俺はフレアスブレイドをしっかりと握りしめ、魔隆に向かって走り出す。
「！ お兄ちゃん！？ 」
「！ まさか、園崎の奴……！！ 」
「忘れてたぜソラ、お前は____」
馬鹿で
単純で
ガキっぽくて
食いしん坊で
いつも誰かを困らせて
それで誰よりも真っ直ぐで
バカみたいに恐れ知らずで
「そんでもって_____
俺の最高の、バディだって事を！！！ 」
魔隆がソラに手を伸ばして掴もうとする瞬間、フレアスブレイドに纏った炎を刃の様に飛ばし、ソラに伸ばした手に刃を当てる。
「グォォォオオオオオ！！！ 」
ダメージが通ったのか、手のひらには大きな火傷ができ、手を引いて後ろに後退する。
「どんだけ装甲が岩みてぇに硬くても、全部が硬ぇ訳じゃねぇみてぇだな！！ 」
「岳斗……！！ 」
「行けソラ！！ そいつらを連れてけ！！ 俺がこいつの相手をしてる間にな！！ 」
「……わかったのだ、生きて帰ってくるのだ、岳斗！！ 」
ソラは流していた涙を拭うと、小さな体で2人を両手で担ぎ、魔隆から離れる様に走り出す。
「グォォォ……！！ 」
魔隆は右手を抑えながら、俺の方を睨みつける。
「さぁ、今度は俺が相手してやる。かかってこいよ、デカブツ！！ 」
「グォォォォォォオオオオオ！！！！！」
言葉の意味がわかったのか、俺の挑発に更に激昂し、周辺に響き渡る様な雄叫びを上げる。
再び魔隆の方へと走り出すと、魔隆は俺の方へと拳を振り下ろし、地面にヒビを入れる。
その直前に俺は高く飛び上がり、振り下ろした拳の上へと乗っかり、腕を駆け上がっていく。
「どうした、
二の腕辺りに到達すると、胸にある宝石に向かって勢いよく飛び出す。
「フレイムギア！！！ 」
フレアスブレイドに大きな炎が纏い、宝石に向かって斬りかかるが、直ぐに左腕で攻撃を防がれる。
「かってぇ……！ 」
でも、今まで防いでこなかったはずなのに、宝石を狙った途端に防いだって事は、あの宝石がこいつの核って事か……！
「上等だ……燃え滾れ、俺の魂！！ 」
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