65話 ？？？side ページ16
？？？side
古くボロくなってしまった5階建ての廃ビルのの中にある、薄汚れた一室でそれは行われていた。
「うわぁぁぁぁぁああああ！！！！ 」
つんざく様な悲鳴とともに、ビュッと壁に血飛沫が付く。
灰色のタンクトップを着た白髪の青年の左手には黒い長剣が握られており、先程斬ったブレイダージャージを着た男の首を掴んで持ち上げる。
力が抜けたかの様に大量の血を流しながらぐでんと垂れ下がると、その男を周りにあるブレイダー達の死体の中に放り込んだ。
「なんで……全員C級以上のブレイダーなのに……！！ 」
自分以外のブレイダーが無残に殺されるのを目の当たりにしたブレイダーの女性は、その場に座り込み、恐怖で体を震えさせ、目に涙を浮かべていた。
「なぁ……俺が怖いか？ 人間」
女の怯える様子を見て、不気味に笑う。
「ひっ……！ い、いやぁぁぁぁぁああああ！！！！！ 」
悪魔の様な笑みに恐怖心は更に増し、死にたくない一心で腰を抜かしながらも逃げようとする。
「逃がさないぜ？ 」
黒い半袖のシャツを着た黒髪の少年が女の前に立ち、髪を掴んでヒョイっと軽々と投げる。
「っ……！ 」
床に倒れ込み、腕を使って起き上がろうとするが、目の前に青年の足があることに気づき、恐る恐る顔を上げる。
「お……お願い……命だけは助けて……！ 」
「あ？ なんでだ？ 」
「私には家族がいるの、私が死んだらあの子が1人になっちゃう……だからお願い！！ 命だけは！！ 」
顔が涙でぐちゃぐちゃになりながらも青年に命乞いをする。
だが無情にも、青年にその言葉は届かなかった。
「ガキ1人残すのが何だ、今更そんなことしてもおせぇんだよ」
女を斬ろうと手に持っている長剣を振り上げる。
「……ふざけんな……ふざけんなクソ野郎っ！！ お前らなんて魔隆と何も変わらない！！ お前らみたいな生きる価値のない奴なんて死んでしまえ！！ この化け物がっ！！！ 」
「化け物か……褒め言葉だ」
逆上する女を見下ろしながら長剣の刃を下に向ける様に持ち、長剣を振り下ろして心臓部分を突き刺す。
貫かれた女はピクリとも動かなくなると、長剣を女から引き抜いた。
「これで全員死んだみたいだぜ、
血まみれでいる大和という青年は、何食わぬ表情で天井を見あげた。
「まだだ……まだ足りねぇ……もっともっと殺して、殺戮の限りを尽くしてやる！！ 」
静かになった血まみれの部屋で、狂気に満ちた嗤い声だけが響いた。
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