64話 清十郎side ページ15
清十郎side
ガランガランと鐘の音を鳴らしながらBARと書かれた扉を開ける。
店の中は薄暗くも、とてもロマンチックな雰囲気を醸し出し、カウンターには見覚えのある白軍服の服を着た女性がワイングラスに入った飲み物を飲んでいた。
「遅くなって悪りぃな、総司令」
「その呼び方はもうやめろ、ここにはお前とマスターと私の3人だけしかいないんだから」
「はいはい、わーったよ。双葉」
隣の席に座り、マスターに灰皿とオレンジカクテルを頼み、タバコとライターを出して吸い始める。
「だが、お前から呼びかけされるとは思わなかったぜ。まっ、俺もお前に話てぇことがあったから良いんだけどな。実は……岳斗の野郎がこんなもんを見つけてな」
ジャージのポケットから小さな赤い真珠のような物を取り出してカウンターに置く。
「！……清十郎、これはまさか……」
「あぁ、こいつが連続変死体事件の魔隆に埋め込まれてたみてぇだ。今までの雑魚魔隆どもみてぇにな」
「……真珠型の遠隔指令チップ……なるほどな、今ので確信が持てた。こじ開けられた異界の扉、壁に教団の印、埋め込まれた遠隔指令チップ、ブレイダー殺し、そして……」
双葉は胸ポケットから2枚の写真を出し、それを俺に見せる。
俺はその2枚の写真を目を見開いて驚き、マスターが出してくれた灰皿の上にタバコを落としてしまった。
「おいおい……その2人ってまさか……」
「あぁ、間違いない。この2人が現場に居た。私の考えが間違っていなければ……」
「今までの事件も、この2人も、バックにラヴァルダート教団がいるっつー事か……」
「……そういうことだ」
あまりに突飛な事で俺は右手を顔で隠し、つい笑みをこぼしてしまう。
「ったく、いよいよきな臭くなってきたじゃねぇか……つーことはよ、『9年前のあの事件』も、関わってきてるってことだよな」
「そうなるな、これで合点がいった。私の憶測だが……この2人以外の残り2人も、ラヴァルダート教団に居る」
正直信じたくもなかった。
だが、信じるしかなかった。全ての辻褄がカチッとはまってしまってるのだから。
「あちらさんも随分と頭がキレるじゃねぇか。早めに手を打っとかねぇとまずい事に……いや、もうなっちまってるかもな」
俺はタバコを再び吸い出し、2枚の写真を見つめた。
その2枚の写真には、猫耳帽子を被って髪の色が半分ずつ違う少年っぽい少女と、ヘアバンドを付けた少し目付きの悪い青年が写っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
