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12-1:意地っ張りはどっち ページ49

ハーマイオニーの退院によって、ジニーの目下の悩みはバレンタインにハリーへカードを渡すかどうかに変わった。


真緒は両親に頼んでチョコレートを送ってもらうお願いを既にしていた為、日本流でいくことにした。


「カードって名前書かないんでしょ?じゃあとりあえず出しちゃえば?」

真緒が気楽にそう言うと「真緒はあげないの?」とジニーに聞かれた。

「誰に?」
「誰ってーーー…マルフォイ、とか?」

「あんな奴知らないから」


真緒はあれ以来、髪を下ろす日が続いていた。
周囲の生徒に好評だったこともあるが、返してと頼みに行くことは真緒のちっぽけなプライドが許さなかった。

そしてドラコから貰った暖かいあのマフラーもつけていなかった。
正直なところ寒くてたまらないが、つけたら負けのような気がするという、最早意地以外の何物でもなかった。







そしてバレンタイン当日。

大広間について、おびただしい量のピンクの花びらや装飾に度肝を抜かれていると、隣にやって来た双子が「ひっどいもんだな」と馬鹿にしたのが聴こえてきた。


「クリスマスの装飾みたいな毎年のことじゃないみたいね」
「これはセンスが悪すぎるわ…」


ジニーと肩を竦めていると、ロックハートの「バレンタインおめでとう!」という大声が飛び込んできた。

どうやら犯人は彼らしく、よく見るとマクゴナガル先生は頰を引きつらせ、スネイプ先生は人を殺しそうな目をしている。

(きっと許可もとらず勝手にやったんだろうな…)


そして、倏枌キューピット瓩肇蹈奪ハートが称した小人達がカードを配り出す。

彼らは授業中でも、周囲に誰かいようとも御構い無しに目的の相手にカードを届けて大声で内容を読み上げた。

ジニーはハリーへのカードで頭がいっぱいらしかったが、真緒は数回その地獄に見舞われ、うんざりとして人気のない廊下へと足を運んだ。





「おい、真緒!」


明らかに気が立っている様子のドラコに呼び止められた真緒は、無視して走り出した。
するとばたばたっと音がして目の前の角からクラッブとゴイルが現れた。


「退いてくれない?」
「駄目だ」
「ドラコの命令だ」


通せんぼする二人に真緒は鞄からチョコレートの詰め合わせを二つ取り出した。


「日本式バレンタインよ、チョコレートあげるから退いて?」
「チョコ?食べたい」
「でもドラコがーーー」


二人を買収するよりも、息を弾ませたドラコが真緒の腕を掴む方が早かった。

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作者名:M.S | 作成日時:2019年10月13日 11時

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