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「無視するのが悪い」
「何ですって」
真緒は睨みつけたが、全く効かないらしい。
しかし、流石に本は拾ってくれるようで緩慢な動作で本に手を伸ばしている。
散乱した物の中に、真緒は手帳から抜け落ちたコリンにもらった写真があるのを見つけた。
「あっ！」
真緒が手を伸ばしたのと同時に、ドラコが写真を手に取った。
慌てた真緒は、これ以上ないくらい素早くドラコの手から写真を取り返して、側に落ちていた手帳に勢いよく挟んで隠した。
「おい、今の誰だ？まさかポッターじゃないだろうね」
「わ、私だから！今の！」
顔が熱い。
「じゃあもう一度見せてごらんよ」
「嫌よ！やだ、来ないでってば！」
真緒の手帳に手を伸ばすドラコの掌をぺしんと叩いて、真緒はその場を走り去ったーーー数冊の本をそのままに。
残されたドラコは、怖い顔をしたマダムピンズがやって来るのを確認して、慌てて本を抱えて棚に戻す為にその場を立ち去った。
「よくもこの僕に、本を押し付けたな…」
(それにあれはーーー…)
白黒だったから確証はないが、ファインダーを覗き込んでいた明るい髪。
カメラを怪訝に見ていたあの表情はーーー
「僕の写真か…？」
あの真緒の慌てようは、ドラコだと言っているようなものだった。
＊
結局何も調べ物が出来ないままに、真緒が寮へと戻ると談話室は大騒ぎだった。
「ジャスティンとニックだよ！！」
「ニックは幽霊なのに、何でーーー」
「ジャスティンって決闘クラブで、蛇に襲われかけてたよな？」
新たな犠牲者の話を耳にした真緒は慌てて女子寮へと向かった。
ジニーがベッドの縁に座り、俯いているのを確認して駆け寄った。
「ジニー、記憶は？」
「…皆と大広間にいたわ」
「良かった」
真緒はほっと安堵したが、目の前のジニーは変わらず怯えている。
「真緒…あのね、今朝また鳥の羽がローブについてたの」
不可解な現象に、ジニーの精神状態はかなり不安定なようだった。
ジニーの怯えように真緒は何とかしなければと強く感じた。
「…ずっと一緒に過ごしましょう。夜も私のベッドで二人で寝よう」
「でも、真緒が襲われたらーー」
「大丈夫、私は純血だから」
にっこりと笑ってジニーを励ます。
「でも…」と尚も言い淀むジニーの肩に手を乗せて、夕食へ行こうと背中を押した。
fin.8
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作者名：M.S | 作成日時：2019年10月13日 11時
