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8-1:ジニーの不安 ページ36

真緒が寮へ戻ってもお祭り騒ぎは続いていたが、消灯も近づき生徒の数はやや減っていた。
そんな中、顔色の優れないジニーに真緒は近づく。


「ジニー、顔色悪いけど大丈夫?」
「私は平気、そんなことよりハリーが心配だわ…」

(ハリーより、最近ずっと顔色の悪いジニーの方がよっぽど心配だけど…)


その会話に、近くにいたコリンが混ざってきた。


「じゃあさ、これからお見舞いに行かない?ハリーの写真を撮って、ジニーに渡したら元気が出るよ!」
「駄目よ、怪我人を撮るなんて。それにハリーも断ってたじゃない」


真緒が窘めると、コリンはめげずに新しく案を出した。


「じゃあさ、ジニーを連れてったら良いんだ!で、ハリーに写真を撮って良いか聞く!そしたらジニーも嬉しいし、ハリーもきっと元気が出るよ!」

「でもコリンーーー」

「決まりさ!ね、ジニー!」
「え…えぇ」


最早真緒の言葉は一切届いていないようだ。
(ま、ジニーが元気になるなら良いか)


わざわざ規則違反などと細かい注意の必要もないだろうと思い、何より体調不良の続くジニーが元気になればと、真緒も寝支度のために談話室を後にしたーーー自身の選択を後悔するなど夢にも思わずに。



翌日になっても、コリンは帰ってこなかった。







週明けには、コリンが石になったという事実は学校中に広まっていた。


「わ、私がやったんだわ、どうしようっ…真緒っ…」


コリンのニュースを耳にしたジニーは涙を頰に伝せながら、震える声で真緒を見つめる。


「落ち着いて。ジニー、人を石にする方法を知ってるの?」

「知らないっ、けどーー…」

「じゃあ出来っこないわ」

「でもっ、私、ハロウィンの時も記憶がなくてーー…これ、みて」


涙まみれのジニーがベッドの下から出したのは血がべっとりとついたローブ。


「これの前は、っ…羽まみれだった、可笑しいでしょ?」

「でもジニーはそんなことしないわ」


「じゃあどうして!コリンは石にされて、私は無事だったの?きっと、っ…きっとハリーのブラッジャーも私がやったのよっ…」

「あの時は私の隣にいて、応援してたわ!」


真緒は強い口調で言ったものの、どうしようもなかった。
ジニーがコリンを、ましてハリーを襲うようなことはしないと分かっているのに、裏付けるような言い分や状況だった。


明らかに、二人の手には負えそうにないことはわかっていた。

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作者名:M.S | 作成日時:2019年10月13日 11時

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