・ ページ35
初めはそんな悪態をつく余裕があったAだが、一週間、二週間も続けばそんな気力すらすり減っていった。
それはAの顔に出ていたらしく、先日英智から「大丈夫？無理しないでね」と言われたときは恥ずかしくて情けなくて、本当に死にたくなった。
それなのに、
「ほんとさぁ……まあ、使うけど」
新人のアイドル達は星見の脚光を浴びたがる。
そろそろ飽きても良さそうなのに、取り憑かれたみたいにAを指名する。
……そうして、自分で選んだくせに毎回毎回あんずとAを比べて悪態をつくのだ。
『スタプロ内で私の評判良くないのになんでだよ……逆になんであたしを見限らないの……』
「おやぁ？どうしました、こんなところに蹲って」
突然の背後からの軽快な声に思わず肩がはねる。
この男、気配がなかった。
『えと、確かコズプロの副所長の……』
「七種茨と申します！それより質問に答えていただけますか、星見Aさん？」
気配がないことには驚いたが、なんだか明るいし良い人そうだ。それに、こんなところにいた自分を心配してくれたのかもしれない。
七種茨ミリしらのAはあっさり警戒心を解く。
今は弱っていて判断力が鈍っているだけかもしれないが、それにしたってAはチョロかった。
『いや、どうしたらもっと上手くプロデュースできるかな〜って考えてただけです。なんかすみません』
「もっと上手く……？いやぁ素晴らしい！」
「もっと努力しろ」とか「考える前に行動しろ」だとかそういう類いの言葉が飛んでくると思っていたので思わずキョトンとする。
が、茨はそんな彼女に気づかず続ける。
「今でも既に敏腕プロデューサーとして評価されているにも関わらずさらに上を目指すとは！Aさんは素晴らしい向上心をお持ちですな！」
『はぁ？』
今の誰からも認められていない自分が敏腕プロデューサー？煽っているのかこの男は。
Aの茨に対する好感度が一気に下がった瞬間だった。
「うん？もしかして誰にも伝えられてないですか？」
『……何を？』
茨も茨で彼女との間に分厚い心の壁が出現したのを察知したのか、慌てたように言葉を紡ぐ。
だって、ここで嫌われてしまったらきっと星見は思い通りに動かなくなる。それは困る。ものすごく困る。
「何をって、貴女の評判ですよ！スタプロ以外にも事務所はたくさんありますからね！例えば──」
「七種くん、星見ちゃん、何をしてるのかな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 266人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅鮭@くじら(プロフ) - 塩おにぎりさん» わ〜い！まじですか女の好みが合いますね！！！文字制限かかるほどの感想本っ当嬉しいです( ･ ･̥ )♡今月中には続編に移行する予定なのでそちらもよろしくお願いします！！ (2022年8月21日 19時) (
レス) id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
塩おにぎり - あ〜、好きだぁ！敬人ぉ！英智ぃ！星見ちゃあん！！ってなりましました。星見ちゃん可愛い。あぁいう性格の子大好物です。ハラハラドキドキニヤニヤしながら見てます。文章もすごく好きです！更新頑張ってください！まだまだ言いたいことあるのに文字数が…… (2022年8月21日 15時) (レス) @page48 id: 783bc2bad6 (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭@くじら(プロフ) - 瑞花さん» 物書きとしてこれ以上ないほど嬉しいコメントありがとうございます！！なんかもうこっちが泣きそうです(；；)瑞花さんの期待に応えられるよう頑張ります！！ (2022年8月13日 10時) (レス) @page38 id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
瑞花 - うわあああなんか辛い…2人とも（あんずと夢主）辛いんですが…涙なしに見れないんですが……えぇ、ちょ、…ええええ（動揺）これからいい方向に進んでいくことを願う…ううううう更新頑張ってくださいっ…！！（涙ボロボロ） (2022年8月13日 0時) (レス) @page38 id: ffe19b4490 (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭@くじら(プロフ) - 結さん» マヨさんはどうしても夢主とエンカさせたかったから出しましたwマヨさんいいですよねわかります……！嬉しいコメントありがとうございます！！ (2022年7月20日 22時) (レス) id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
