隣の君は。

隣 .29 ページ29

練習試合が終わると、

大活躍した平野くんと日菜ちゃんが
ハイタッチしているのを見てしまって

少し、いやすごく、羨ましかった。




優「 百瀬おつかれ！ 」


『 あ、岸、おつかれ！ 』



そんな平野くんに釘付けだった私の視線は
岸によって逸らされた。




優「 この後時間ある？ 」


『 え、うん、大丈夫だけど 』


優「 みんなで飯行くんだけど百瀬も来る？ 」




みんなって、もちろん、
平野くんも含まれるだろうから

答えに迷った。けど。





優「 あ、あんまり、会いたくないよな
じゃあ2人で行くか？ 」


『 いや、何でそうなる？
いいよ！みんなで行く！ 』


優「 ほんとに？大丈夫？ 」


『 う、うん 』



大丈夫って言ってるのに
信じてくれない岸は
私の手を掴んだまま、
みんなのところに向かおうとする。




『 ちょ、岸！？ 』


優「 なに？ 」


『 なに、じゃなくて、手！ 』


優「 だめ？ 」


『 は？ 』




何これ、こんなの、岸らしくない。

心配してくれるのは嬉しいけど。




『 ねえ、そんなに
気遣ってくれなくても大丈夫だよ？

他にもいっぱい人いるんだし、
私はだい…_______ 』


私が言い終わる前に
ギュって抱きしめられて。




優「 気遣ってねぇし
俺がやりたいからやってんの 」


みんなに、平野くんに見られてるのに、
岸は私から離れようとしなかった。




優「 ごめん、
混乱させてごめんな？ 」


最後には、優しく頭を撫でて
そんな意味深な言葉を残した。

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