隣の君は。 (ページ28)

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隣 .28 ページ28

それから、夏休みということもあって
しばらく平野くんには会わずに済んだけど。

「おはようございます！」

「おはようございます！」

合宿から1週間、
今日は隣町の高校と練習試合がある。

嫌でも、選手の平野くんとは会うわけで。

廉「朝からそんな仏頂面すんなや
俺らのモチベまで下がるやろ！」

『だから私のことはほっとけってば』

永瀬は他の女子をほったらかして
わざわざ私に声を掛けてくるから

これも一種の嫌がらせなのだろうか。

廉「ほっとけるわけないやろ」

と、柄にもなく落ち込んだ仔犬みたいに
シュンとした表情を見せる永瀬。

そういえば、永瀬とも合宿以来会ってないし。

もしかして、もしかしたら、
あの時のこと気にしてくれてるのかなーって
ほーんの少しだけ期待してみたら。

廉「今回は、俺が悪かった」

まさかの図星でびっくりした。

永瀬が謝るなんて
今日は雹でも降るんじゃないかな。

廉「な、なんか言えや！」

『永瀬が謝るなんて、びっくりした』

廉「はー？お前なあ！
俺を誰やと思ってんねん！」

『何様だよ』

廉「あーお前とおったら
ほんま調子狂うわ」

海「そんなこと言って、嬉しいくせに～
素直になりなよ～」

『あ、海人くん！』

海「俺何も見てないよ！
何も言ってないよ！」

永瀬のこといじってたくせに

私を認識した瞬間、
急に言い逃れしようとする海人くん。

別に気にしてないけど、面白いから。

『がっつり見てたじゃん！
永瀬に告げ口したじゃん！』

ちょっと揶揄ってみたら、
本気で落ち込んじゃった海人くん。

『ええええ、ちょ、ごめんね！？』

海「嘘だよ～
慌ててるAちゃんも、可愛い！」

廉「『は？』」

たまたま永瀬とハモって
また2人で言い合いになったのは
言うまでもない。