隣の君は。

隣 .11 ページ11

それでも駄々をこねていた平野くんを
何とか言いくるめて、練習に行った永瀬と岸。

部屋には私と平野くん2人きり。


看病するだけって分かってるのに
胸のざわめきが止まらない。




『 気分はどう？少し横になる？ 』


紫「 このままで大丈夫 」



壁に背中をつけて座りながら
足をだらんと床に伸ばしている平野くん。

まだあまり気分が優れないのか
伏し目がちに下を向いてて、かっこいい。




『 なんかあったら呼んでね、
私はこっちで……_____ 』

と、平野くんから離れて
部屋の隅に移動しようとしたら
腕を掴まれて、動けなくなった。



『 平野くん？ 』


紫「 隣、いてほしい 」


弱っているせいか、
いつもと雰囲気が違くて、余計ドキドキする。



『 分かった、
ずっとここにいるよ 』


そう言って平野くんの隣に座ると
キュッと手を握ってきた。



ドクン、ドクン、ドクン、
静かな部屋に響く、私の心臓の音。

平野くんに聞こえてないかな、って
気になって余計ドキドキする。


あんまり話すのもよくないかな、って
黙ってたけど、沈黙が苦しい。



ちらっと横を見ると、寝息が聞こえて、
髪の毛から覗く目は閉じていた。


『 寝ちゃった、かな？ 』



声をかけても返事をしないので、
平野くんは寝てしまったのだろう。



しばらくして平野くんの頭が
コツン、と私の肩に乗ってきて

私は緊張でどうにかなりそうだった。




『 は、早く起きて…… 』

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