奇跡から生まれた軌跡 ページ24
『あの、どうして優しくしてくださるんですか？』
「それは…君に笑ってほしいから。食事をしっかりとって、しっかり寝て…希望を常に持っててほしいからかな？」
でも、やっぱり一番は……
「あとは、仲良くなりたいから」
『…ぷっ、あはは。お兄さん、変な人ですね。ふふっ』
(真剣に言ったつもりなんだけどなぁ…)
でも、いいか。笑ってくれたんだし。
少女の笑い声はコロコロ、キラキラしてて見てると穏やかになる…小さな鈴の音みたいに可愛いものだった。
「お兄さんじゃなくて、太田さんって呼んでほしいな。あ、純さんでもいいよ」
ちょっと決め顔で呼んでアピール。
『ふふっ、やっぱり変な人ですね』
そう言うと少女は視線を落とした。
『私……今まで何が何だかわからなくて、なにも理解できなくて…怖かった。
動かない足も…なんだか変な感じで。
だからね…本当は嬉しかったんです。話しかけてくれたこと。
初めは困惑してしまって…でも……
だんだん来てくれるの、楽しみになってた。
わからないことだらけだけど、純さんがいい人だってことは分かったよ。
ありがとう』
(やばい、そういうこと言われると…)
目の辺りがジワリと熱くなる。
昔から感動しやすくて、涙腺が脆いんだ。
(泣くな！まだ始まったばっかりだろ…！)
「そう言ってもらえてよかった。わからないことは聞けばいいよ。大丈夫、ここには君の味方しかいないから」
そういった時、脳裏に浮かんだのは少女の母親。
忘れられたことのショックで「顔を合わせるとまた困惑させちゃうから…」と生活に必要な物を看護師に渡したりするだけで、少女に会おうとしなくなってしまった。
(元に戻れるように頑張らないと…)
「君の名前は彩野A。高校3年生。これから、頑張ってリハビリして、もう一度歩けるようになろう！」
手を差し伸べると少女はまた笑う。
『……ぷっ、気合入り過ぎですよ。彩野…Aか。……ふふっ、よろしくお願いします』
手を取ってくれた時、嬉しさと同時に罪悪感にかられた。
俺は大事なことを伝えられなかったんだ。
記憶が戻る可能性も、足が動く可能性も…ずっとずっと低いことを。
特に足は、わずかに残ってる神経があるかもしれないってだけで…歩けるようになる可能性は2％もないってことを。
「…頑張ろうね！」
笑顔でごまかすことしかできなかったんだ。
希望を忘れてほしくなかったから……
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くるみ(プロフ) - MIZOREさん» はじめまして！コメント&応援ありがとうございます。これからも二人でいろんなお話を出していけたらと思ってますので、よろしくお願いします。 (2017年9月13日 18時) (
レス) id: 1b7b0b02d0 (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE - 暁さん、くるみさん、はじめまして!とても感動できる内容で、読みやすかったです。更新頑張ってください! (2017年9月13日 18時) (レス) id: a68bb744ad (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - 星月夜さん» 心あたたまるコメントをありがとうございます！今後も頑張って二人で更新していこうと思うので、この作品をよろしくお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ (2017年9月11日 7時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
星月夜 - 短編集なので当たり前なのですが、一つ一つが簡潔に書かれているので読みやすいです！最初のお話は本当に感動しました！ (2017年9月10日 23時) (レス) id: b0ad28a90c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くるみ＆暁 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月10日 12時
