Prisonerworld【小説】 (ページ21)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:8,083 hit

賢い者同士【守】【夕凪蝶葉】ページ21

マッチを受け取りシェルターに忍び込む。

辺りは消灯したままで人の気配がない。
さて、どうするかねー、と呟く瑠架さん。
確かここらに通気孔があって二人くらいなら入れるはず…
ガタガタと音を立て通気孔を外し、瑠架さんを誘導する。

「…ここら辺を突き進めば…“部屋”につくはずです。」

「おう…てかなんでそんな詳しいんだ？」

まだ説明していなかったか…
小さい声で説明を加える。

「あー…まだ言ってませんでしたね。私は何回かここに来たことがあるんですよ。“部屋”に来たのはあれが初めてでしたが…張り込みとかはしていたので。」

「へ、へぇ…」

驚きながらも相槌をうつ彼女に微笑みながらも部屋を目指す。

「着いた…」

「おい！今すぐミナトを返せ………
って…ありゃ？」

そこには誰もいない。まさに藻抜けの殻。きっと奏が何かしたのだろう。帰したとは思えない。

「…多分。今湊さんは洗脳か何かにかかってる…」

「…は…？」

「ああ、すみません。憶測に過ぎないのですが…恐らく湊さんはまだ帰したとは思えません。だって情報を聞き出すための時間が足りなさすぎるから。
つまり本来ならここにいるべき筈なのです。ですがここにはいない。意図して出されてるのだと思います。」

「…そうか。確かに逃げるとしても見張りがつくはずだし、何より逃げる様なことが起きていたら今頃こんなに静まってなんかいない。…となれば…！！」

「はい。その通り、湊さんは洗脳されていると考えやすいのです。
…となれば湊さんを無理にでも連れ帰る必要がありますね…」

「…アタシに考えがある。」