予定調和【攻】【長門 奏】 ページ18
「えぇと、コレが、コレで…」
バラバラに結んだ糸を、もう一度ちゃんとした行き先に繋ぎ直す。
こちらが味方という認知を変えない程度に、でも記憶は大方思い出せる様に、ある程度ぐちゃぐちゃにして、結び直す。
いつかガーディアに返すけど、それまでは遊ばせてもらおう、そんな事を思うと、無意識に口角がつり上がった。
味方だと思わせる様に、縛っていた縄を外し、傷を丁寧に手当てして、体が冷えない様に、タオルケットを持って来て彼に被せ、起きた時用に水も持ってくる。
「ふふ、ぐっすり寝てるなぁ…。安心して下さいね、いつかガーディアに返してあげますから…それまでは私達と仲良くしましょうね…♡
大丈夫、ここにも居場所はありますよ…」
未だ安心した顔で眠れていない湊さんの頬を優しく撫でる。その衝撃で彼の涙が溢れて、私の指を伝った。
その光景は私を興奮させるには充分で、私の頬は熱く紅潮した。
きっと湊さんを力づくで分捕りに来るんだろうけど、それまでに私は彼にどれだけの傷を残せるだろうか。
仲間だからと囁いて。
訓練だからと嘯いて。
彼の顔を何度絶望させられるのだろうか。
「あ…れ…?ここ…どこ…??」
ふと目を開き、痛いであろう首を動かして周りを見渡す湊さんに、ゆるりと微笑んだ。
「…おはようございます、湊さん。私です、長門 奏です。」
「か、なで…?」
「はい、貴方の味方の、奏ですよ!」
「みか…た…」
焦点が合わないまま此方を見据える彼に、笑みを深くして嘯く。
「はい、湊さん、レボディショナルの隊員なのに、ガーディアの人達に洗脳されちゃってたんですよ。私達レボディショナルは、湊さんの味方です。」
「僕…が、レボ、ディショナル…??」
両手で頬を包んで、優しくそうですよ、と宥める。こびりついて落ちない血がそこら中にへばりついてる"部屋"にそんな優しい声が響くのは、あまりにも不似合いだろう。そんな事を思いながら、彼に、湊さんに微笑む。
「うわ…奏ちゃん、えげつない…」
「絢さん、戻って来てたんですね。
…まぁ、コレが私のやり方ですし…ちゃんと口裏は合わせて下さいね?」
「分かってる分かってる!」
未だ困惑したままの湊さんに向き直ると、大丈夫ですよ、もうここに敵はいませんよ、と優しく囁く。
彼は、私の方を見ると、絞り出すかの様に、声を上げる。
その発言が、あまりにも予定調和過ぎて、思わず私は口角を釣り上げた。
「…ここ、が、ぼくの、居場所…?」
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白 - 更新しました! (2020年3月1日 18時) (レス) id: a0941ce1f9 (このIDを非表示/違反報告)
白 - お久しぶりです。更新しまーす! (2020年3月1日 17時) (レス) id: a0941ce1f9 (このIDを非表示/違反報告)
しじみごはん(プロフ) - 更新しましたーー!!! (2020年2月23日 11時) (レス) id: a2f3698a22 (このIDを非表示/違反報告)
しじみごはん(プロフ) - 更新します〜〜 (2020年2月23日 10時) (レス) id: a2f3698a22 (このIDを非表示/違反報告)
星蝶 - 更新しました! (2020年2月11日 22時) (レス) id: 6888f46f20 (このIDを非表示/違反報告)
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