越前リョーマ、大人になる ページ6
俺には好きな人がいた。ひとつ上の、図書委員の先輩。好きになったキッカケはまあ、別の話で。
でも、先輩には当時、彼氏がいた。それは人気者の＿＿あの人。
俺は気持ちを伝えるなんてできなくて。
それでも、先輩＿＿A先輩にどんどん惹かれた。
先輩はスキンシップが多かった。それが嬉しくもあり、先輩の彼氏を連想させて悔しくもあった。それに子供扱いされているような気がしてそれも嫌だった。
先輩とは、俺がアメリカに行ってから、話していない。
だから、今、なぜA先輩とこんな喫茶店でお茶をしているのか、不思議でならない。
「リョーマくんが、日本に帰ってきてたなんてねえ。しかも、あんなとこで会うなんて思いもしなかったわ。」
「そうっすね。」
「相変わらず無愛想だなー」
A先輩がグシャグシャと頭を撫でてくる。
＿＿＿好きだなあ。
「ああ。背までこんなに大きくなってねえ。昔はこんなだったのに。」
先輩はそう言うと50センチくらいを手で示した。
「そんなにちっさくないっすよ。」
「あはははは」
先輩がゲラゲラと品がなさそうに笑う。
俺がムッとしているとひとしきり笑ったあと、先輩は再度、口を開いた。
「でも良かった。」
「なにが？」
「リョーマくんが変わってなくて」
「……」
そんなことない。俺はもう、大人になってしまった。もう、夢は見れない。
俺は、その薬指にはまる指輪の意味が分からないほど、もう子供ではない。
「結婚式、来てくれたら良かったのに。ちゃんとハガキ届いてたでしょ？」
「……届いてなかったよ。」
「嘘つき。あの人ったら『おチビには直接出しにいくんだー』って言って、家まで行ってたもん。まあ、リョーマくんがいなかったからポストに入れといたって言ってたけど。」
「………そん時、アメリカにいて…」
「もういいわよ。わかったわかった。」
「じゃあね。リョーマくん。……あなたも幸せになりなさいよ。」
余計なお世話だ。
俺はもう、幸せにはなれないのに。
家に帰ると、俺は、A先輩の結婚式の招待状を引っ張り出した。
そして、それをビリビリに破いて、ゴミ箱に捨てた。
ゴミ箱の中の招待状の「菊」という字がやけに歪んで見えた。
ーーーー
リョーマくんの片思いです。
Aちゃんのお相手は菊丸英二くんかなー
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あぷりこっと☆(プロフ) - ありがとうございます！続編の方も更新頑張りますね…！ (2019年10月24日 18時) (
レス) id: 280df3197c (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - こんにちは！文章がとても上手くて、流れも良くて、楽しいお話でした(^^)ありがとうございます！ (2019年10月21日 17時) (レス) id: 9eccfaa3b5 (このIDを非表示/違反報告)
あぷりこっと☆ - かえでさん» お久しぶりです！続編を遂に出すことができて本当に嬉しいです。はじめてコメント、リクエストをしてくださったかえでさんのお陰でここまで来れました。本当に感謝しています！これからも未熟なあぷりこっと☆をよろしくお願いします…！ (2019年9月13日 21時) (レス) id: 280df3197c (このIDを非表示/違反報告)
かえで - あぷりこっと☆さん» お久しぶりです！続編出るんですね！待ってました！これからも頑張ってください！！ (2019年9月12日 17時) (レス) id: ac6f89e4bc (このIDを非表示/違反報告)
あぷりこっと☆ - みかんですねんさん» 駄作ですみません汗 更新は遅いですがこれからもゆっくり頑張っていきますのでよろしくお願いします！ (2019年9月12日 17時) (レス) id: 280df3197c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あぷりこっと☆ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/apricotstar/
作成日時：2019年5月23日 1時
