恋人はママちゃん【白】 (ページ15)

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「あ〜…警戒してたのは合ってる。俺等こういう仕事してるからどうしても直ぐに信頼とか難しいんだよね」

確かにアイドル相手に見ず知らずの女がいきなり家事やります、宜しくお願いしますって来て信じろなんて厳しいよね。

下手したらスキャンダル狙いの人とかも居そうだし。

「でも1ヶ月見ててAさんは違うって分かった」

「はい、推し事の為に稼ぎたかっただけです」

きっぱりそう言うといつの間にか聞いていた佐久間さんが凄く同意してくれた。

「推し事マジ大事よね！」

「だから佐久間は程々に」

阿部さんの冷静なツッコミにえ〜と不満げな佐久間さん。

そのやり取りに思わず笑うと深澤さんが優しく声をかけてくる。

「照同様、俺等もAさんの事信頼してるし感謝してるよ」

深澤さんの言葉に皆さんも頷く。

「皆さん…ありがとうございます」

頭を下げると大きな手が頭に乗るのを感じた。

見れば目黒さんが子供にするみたいによしよしと優しく撫でてくれている。

「うん、泣き止んだね」

ああ、ラウールさんに抱きしめられた時に涙は引っ込んだ気がしてたけどその後も少し泣いてたのかな。

「ほら」

少しぶっきらぼうに渡辺さんがティッシュを差し出してくれたので受け取ろうとして動き辛さに気付いた。

そういえば私まだラウールさんに抱きしめられたままだ…。

しかもそれを皆に見られてると言う恥ずかしさから一気に顔が赤くなるのを感じた。

「ラウール、そろそろAさんから離れな。茹で上がりそうだよ」

「え、あ、うわっ、ごめんなさいっ」

宮舘さんの言葉に気付いて慌てて手を離し飛び退くラウールさんに恥ずかしいけど顔を見てお礼を言う。

「慰めようとしてくださったんですよね？ありがとうございます」

「う…うん」

ラウールさんも顔が赤いのに気付いて何だか居たたまれなくなって俯く。

どうしたらいいか何も思い付かないし、何故か誰も何も言わない。

暫し続いたそんなどうしようもない雰囲気を一際明るい声が破ってくれた。