2杯目 ページ6
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「そろそろ彼女が来る時間ですね」
俺が壁にかけられた時計に目をやると、黒霧がそう切り出す。
黒霧が言った通り、もうそろそろAが来る時間だ。
だけどそんなの俺の知ったことじゃない。
俺があいつの事を待ってるとでも思ったのか？ンな訳ねぇだろ。
「興味無い」
「おや、興味無いのですか」
いかにも興味なさそうに視線をずらして短く応えた。
すると黒霧がどこか嬉しそうな、楽しそうな声色で問う。
なんでそんな楽しそうなんだよ。
ない、今度は少し強めに応えると黒霧はふむ、とグラスを拭く手を止めた。
「私の目には彼女と話している時のあなたはとても楽しそうに見えますが。」
「冗談だろ、目ぇ腐ったか？」
その言葉につかさず俺は反論の意を述べる。
あいつはただ酒を飲みにここへ来て、その間の暇つぶしのために俺に話しかけてくる。迷惑なこった。
でも俺はそれを丁重に相手してやってる。偉いだろ？
迷惑とは言ったがAと話すのは特別嫌な訳では無い。でも特別楽しい訳でもない。黒霧と話す時とおなじ。
フツーだ。そう、フツー。黒霧の目が腐ってんだ。
──あー、だけど。強いて言うならあいつと話している時だけ、オールマイトや他のムカつくものの事を忘れて、落ち着いて話が出来た、かもしれない。
本当に楽しい訳では無い。
多分、楽しいというよりは話してて落ち着く、みたいな。初めてのような感覚が故に本当のところはよく分からん。
頭の中にAの事を思い浮かべる。だが、思い浮かべようとすると先に”あの目”が脳裏を横切った。
先日一瞬だけ見せたあの目。あの暗く淀んだ瞳が。
あれは一体なんだったのか。あの一瞬だけで判断するのは難しかった。
だけどあの時、心臓がドクンと大きく鼓動を打ち、頭の中に電流が走ったような気がした。
それはまるで……まるで……
「彼女、前までは朝方にいらしてたんですよ」
答えに至る前に黒霧の言葉が俺の思考を遮った。
「……あぁ、だから今まで会わなかったのか」
「ええ。ですが、貴方と会ってからはこの時間に。」
「……あっそ」
……それがどうした。さっきも言った通り、あいつがいつ来ようが俺には関係ない。
会話が途絶えたのとバーの扉が勢いよく開くのは同時だった。
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りんご同盟 - あっ…好きぃ (11月20日 23時) (
レス) @page35 id: ed24fa5325 (このIDを非表示/違反報告)
星宮暦(プロフ) - わぁ〜！神作見つけてしまった…更新頑張って下さい！応援してます！ (8月22日 0時) (レス) @page25 id: b26f71cce5 (このIDを非表示/違反報告)
11才のバカ - これは追うしかないっしょ！おもろ〜！好みドストライク。桜もちさに更新ガンバってください！ひそかに見学！ (5月9日 0時) (レス) @page17 id: 470dc29d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜もち | 作成日時：2023年3月30日 7時
